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「もうこれ以上、火消し役には回れない。火よ、燃え上がれ」

との抗議の声を上げていたのは、ストックホルムの教師、生徒、そして保護者たち。先週の土曜日に数千人が集まり、学校への予算削減に対抗するデモが行われた。

スピーチに立った教師の1人は「削減された予算を補うために、私たちが身を粉にして働くという状態にはこれ以上耐えられない。もう火消し役は続けられない。火が大きく燃え上がれば政治家たちもこの国の教育の危機に気がつくでしょう」と声を上げた。

教師は削減された予算を補うために、総務、警備員、庶務や学校看護師やカウンセラーとしても働くことはできないと現状を批判する。ストックホルム市の126の公立基礎学校のうち、103校で、2023年度に割り当てられた予算では学校運営が赤字となり、各校は人員削減を迫られている。

他の教師は「教えるために5年もかけて勉強してきたのに、今は教える以外の様々なことに時間を使っている。なんとかやってきたけど、これ以上続けられない」という。

学生アシスタントの人たちが多く加盟する労働組合は「政府は電気代が払えない家に住むことを選んた人たちに、巨額の電気代補助金を支払い、また今社会に蔓延する犯罪を取り締まるために過去最大の取り組みを行っているというが、犯罪への最大の取り組みはこれまで教育、学校に予算を使った福祉国家のスウェーデンで行われてきたのだ」と声を上げる(もっともだ!)

自閉症やADHDの子どもなど特別な支援が必要で、学生アシスタントのおかげで学校生活ができる子どもたちへの配慮も、新予算下ではこの先はなくなっていくことを恐れる保護者の声も聞かれた。

さて、このデモから一週間たったが、まだ大きな変化の兆しは伝わってこない。ストックホルム市は学校を救済するための予算は政府の責任で配分されるべきだといい、教育大臣は予算の責任は自治体にある、という。

「スウェーデンはもっとスウェーデンらしく」  って、言ってましたよね、誰か。

数千人が学校での人員削減に抗議。「もうこれ以上の火は消せない」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023