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「母国語教育なんていらない」

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わかりやすく言えば「早く言葉覚えて仕事見つけて税金納めてね」ということなのだろうが、スウェーデンに引っ越してきて、移民には国がスウェーデン語を無料で教えてくれると知った時はとても嬉しかった。

さらには、移民の家族など母国語がスウェーデン語とは異なる子どもは、学校で母国語教育を受けることができると聞いたときには、その懐の深さにうなった。多様性は国を豊かにするという哲学が背後になければこう考え方は出てこないだろうな、と思ったからだ。

今、中道右派のキリスト教民主党がこの母国語教育の廃止を求める議案の準備を進めている。

確かに、母国語教育にはうまくいっていないところも多いのかもしれない。キリスト教民主党は、母国語を教えている教師の少なくとも40%はその資格を保持しておらず教育としての質が担保されていないこと、毎年母国語教育に使っている10億クローナ(約120億円)は、移民へのスウェーデン語教育費用などへ移転させるべきだと考えている。

機能していないところがあるのならそちらを修正する形をとる方向で、私は母国語教育が続いていけばいいなと思う。国として目指すところが反映されているように思うからだ。

でも、今まで「スウェーデンには移民の子どもにも母国語教育がある」ことを当たり前のように思っていたが、きっとこれは導入される時にもいろいろ意見があり議論されたはず。

当たり前と思って享受してきたものが変更されそうな時、なくなりそうになって初めてその重要性に気づき声を上げることになるのか? なんだか、学問の自由ですら世界中で脅かされているようだし…… (「政治家が学問の原則に反発」ネイチャーが日本など懸念

キリスト教民主党は母国語教育を廃止したい

© Hiromi Blomberg 2023