swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

伝えなければいけないニュースばかりなのに、ジャーナリストは減っていってしまうのだろうか

この人がでてくるとウキウキしてしまうSVTの内政担当記者カロリーナ・スコッグルンドさん。彼女が誰に何を聞いてくれるのか、毎日楽しみ

私は取り上げてはいないけど、ここ数日どんなことがスウェーデンのニュースのトップを飾っているかというと

  • ウプサラで続く銃殺事件。昨夜はストックホルムの中心地で20代の男性が銃殺される
  • ウクライナの戦況
  • 16日(土)に予定されている国王の即位50年の祝賀パレードとその際のテロの可能性
  • リビアの洪水による大災害
  • 今期が始まった国会から、キリスト教民主党党首によるトルコに関する不適切発言(彼女は発言を撤回した)

といわけで、すっきりとした秋空に心が弾むようなニュースは一つもないし、今から書くニュースは、戦争や事件や災害のニュースでないだけに、よけいに心が沈む。

公共テレビ局SVTとは独立した形で力強いジャーナリズムを展開していた公共ラジオ局、スウェーデン・ラジオ(SR)は、年間25億クローナ(約330億円)の経費節減に迫られており、おそらくはジャーナリストを含む人員の解雇がこの先必要となるであることが発表された。

人員解雇が何人に及ぶかなど、詳しいことはこれから話し合われるそうだが、SRのCEOを11年努めているシッラ・ベンコーは、インフレで家賃やすべての経費がかさみ、またセキュリティに多くの費用をつぎ込む必要が増すなか、これまでも予算配分の効率化は行ってきたがそれは番組編成には現れないところで行ってきた。今回の費用削減は大きなものとなり、それは番組編成にも影響を及ぼし、リスナーもはっきりと分かる形のものになるだろうと言う。

公共放送が強く、人々の公共放送への信頼も高いスウェーデンだけど、テレビのSVTとは異なる組織で、別途ジャーナリストを派遣して、さまざまなニュースを独自に伝えてくれるスウェーデン・ラジオがある安心感は大きい。小さな国で、ジャーナリストたちの流動性も高いスウェーデンでは、公共テレビ、民放、また新聞やラジオに限らず、よくお互いの番組や紙面にジャーナリストたちを呼び合いながら、ニュースをカバーしている。

冒頭に書いたように事件や災害はつきず、これからますます増えていくだろう。ジャーナリストや信頼できるニュースの解説者は減らすのではなくて増えなくてはならない。スウェーデンラジオが税金で賄えないなら、事業を縮小してほしくないのでクラウドファンディングなどで寄付するよ、という人は結構いるかもしれないけど、それじゃ公共放送とはよべないし。困ったな。

メディアの人員削減は、民放テレビ局のTV4(生放送ニュースデスクを中心に12名ほど)やヨーテボリの主要市他、多数の地方新聞を取りまとめるStampen社からも最近新しく発表されている(広告部門を中心に100名解雇。ジャーナリストも対象となる可能性あり)。

大幅削減を余儀なくされるスウェーデン・ラジオ「リスナーにもはっきりわかり形となる」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023