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PFASとザリガニ

つい最近になって、PFAS(ピーファス)という言葉やその問題を知り、へー怖いな、とおもっていたところに、スウェーデン産のザリガニで高濃度のPFASが検出されたというニュースを読んだ。

PFASとは1万種類以上ある有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじき熱にも強いことから、フライパンや食品の包み紙など身近なものに使われてきました。
しかし、一部は分解されにくく、体に蓄積されることから有害性が指摘されていて、中でもPFOSとPFOAという2つの物質は、現在、国内で製造禁止となっています。

高濃度のPFAS検出各地で 広がる健康への不安 | NHK | 医療・健康

スウェーデン自然保護協会が今年の8月、市場に出回っているザリガニを購入しPFAS濃度を調べたところ、スウェーデン産のザリガニの何匹かでEUの基準値を大きく上回る数値がでた。同じザリガニでもトルコ、スペイン、エジプトからの輸入されたものは、PFAS濃度がスウェーデン産と比較して著しく低かった。EUは卵、魚介類や食肉に含まれるPFASの量に法的拘束力の制限を導入しているが、実際にはその数値を上回る食品が売られてしまっている。

スウェーデン自然保護協会は今回の調査について、「これはPFASが私たちの自然界、水中に広く存在し、私たちは飲料水や食品の両方からPFASを摂取し続けていることの裏付けである。一刻も早くPFASを禁止しなければならない」とコメントしている。

記事では、これまでに他にもスウェーデンの湖とバルト海でとれた魚で同様の研究が行われ、やはり高濃度のPFASが検出されたこと、PFAS関連の一番大きなスキャンダルとしては、ブレーキンゲのカリンゲで影響を受けた住民が自治体の水道会社を訴え、目下最高裁判所で審理されている件などがあることが伝えられている。

今回自然保護協会が行った調査は少数の無作為抽出方式によるもので、ここから大きく結論できることはできないが、これまでに同協会が実施している飲料水や湖水の調査結果と一致しており、政府や自治体が直ちに適切な対応を取ることを要求している。

カロリンスカ研究所でPFASを専門に研究しているマティアス・オーベリさんも、食品中のPFASの管理を改善する必要があると考えている。彼はスウェーデン食品庁が自治体と協力し、PFASがどこに含まれているか調べる必要があると言う。規制があっても、誰もチェックしないのであれば、何の役にも立たないからだ(って、EUの規制って、そんな感じで扱われていたの?)

今回ザリガニから高濃度のPFASが検出されたからといって、ほとんどのスウェーデン人はザリガニを食べないし、食べるとしても少量なので、ザリガニだけを悪者扱いする必要はない。問題は、PFASはザリガニだけでなく、魚や肉や飲料水にも含まれていることだそうで、うーん、恐ろしい。

スウェーデン産のザリガニで高濃度のPFASが検出される(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023