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週4日労働が広がっていく際のリスクとなるのは何か?

多くの場合週5日労働から週4日労働にしても出せる成果は落ちることなく、社員のウェルビーイングは高まると、いいとこだらけのような週4日労働にも、社会全体でみればネガティブな影響がでるだろうことをルンド大学の社会学の研究者が指摘している。週4日労働の導入できるかどうかは業種により大きな差があり、要求の高い業種や効率化の容易な一部の人たちの間の、特権的なものにとどまるだろうという懸念だ。

ダーゲンス・ニュヘテルの記事は研究者たちへの取材と共に、マルメ市の公営住宅会社MKBでも、社員のウェルネスの向上のために徐々に労働時間を減らすことに取り組んでいる様子も伝えている。週40時間労働のMKBでは、現在既に週に2時間ウェルネスや自己啓発のために時間を使うことができ、社員たちはその時間をトレーニングなどに使っている。MKBが目指すのは2030年までにすべての社員の労働時間を週32時間までに減らすことだ。

MKBの人事責任者は、ビデオ会議の活用や契約書のデジタル署名の導入や、また今後はおそらくAIの力を借りて労働時間を短縮する未来を描いているが、これは時間をかけて行わなればならないとも強調する。短期間に断行するとストレスが強くなる人たちもいると予想されるからだ。その場合健康は増進せず、悪化してしまうだろう。

公衆衛生学の研究者は、休んでいる時間にもできていない仕事のことを考えたり、メールをチェックしてしまったりと、結局は80%ではなく100%働くようなことは女性によくあることを指摘する。また現在の80%だけ働くという形でも、週4日労働ではなく、毎日の労働時間を6時間にする試みも行われているが、こちらの方は労働時間が短縮されただけでは、従業員のウェルネスにそれほどの変化はなく、向上させるにはその2時間を必ず体を使った活動にあてることなどが明確に指示される必要がある。

MKBが週4日労働になるかどうかはまだ未定だが、現行2時間のウェルネス活動を試験的に週に4時間にすることは決まっている。いいなぁ。そう言えばこういうニュースもあったことも思い出した。

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研究者たちが語る週4日労働のリスク(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023