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北欧のノーベル賞受賞者の、受賞の瞬間のいつもの日常

コロナのワクチンの話と違って、「アト秒」と言われてもよくわからないのだけれど、今年のノーベル物理学賞のうちの一人は、その「アト秒」で光出する手法を開発したルンド大学教授のアンヌ・ルイエさんだった。

受賞の発表の瞬間、彼女は大学で講義中で、早めの休憩をとり選考委員会からの連絡を受けた後、すぐクラスに戻り授業を続けた(でもさすがに彼女も生徒たちも授業に集中するのは難しかったそう)。

ルンド大学からノーベル賞受賞者がでたのは初めてで、フランス・スウェーデン人の彼女の快挙は世界の中でのルンド大学の位置づけを大きく変えるだろう。Yeah!

そしてこのルイエさんの受賞から2日後、スウェーデンのSVTはノーベル文学賞を受賞したヨン・フォッセを探して、ノルウェーのベルゲン郊外を走り回っていた。彼のサマーハウスがあるという場所でSVTの取材を受けたフォッセの背景に広がるのは、寒そうな静かな水辺。開ける風景、高い山々とフィヨルドの中で、彼は世界と出会うのだという。

心の奥底では受賞はあまり嬉しくないと言い、また2013年くらいからずっとノーベル賞受賞者として名前が上がっていたが受賞しなかったので、選ばれてとても驚いていると話す。前回、ノルウェーの作家が受賞したのは1928年で、その間に素晴らしいノルウェー作家はたくさんいたのに、長い時を経て初めての受賞者となったとも。

フォッセはノーベル賞を一番重要な賞と表現することから、この賞が彼にとって大きな意味をもつことは明らかだ。書くことが一番心が安らぐ場所で自分が入り込む世界であり、自分はその秘密の場所から書いていて、すべての取材が終わったらまたその場所に戻りたいと言っていたフォッセだが、しばらくは彼の周囲はざわつきそう。この日は受賞の知らせは家族と静かに祝う、と話して去っていった。

講義中にノーベル賞を受賞(アフトンブラーデット)

まさか自分が受賞するとは思わなかった(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023