英国の医学誌に掲載された片足立ちと早死にの関係についての研究結果に、理学療法の大学教授がコメントを寄せていたのを読んだ。
この研究は51歳から75歳の男女1700人に片足で10秒間立つことができるかをテストし、その後の生存確率や疾病に関する追跡調査を行ったもの。テストに不合格だった人の間では、その後の10年間で死亡する確率がほぼ2倍だった。
ストックホルムのソフィアへメット大学のマリ・ルンドベリ教授は、高価な機器を使ったテストをしなくても、簡単なテストで大まかな健康状態を知ることができるのは非常に興味深いと話す。このテストではバランスが崩れていること自体が危険因子というわけではなく、健康状態の良し悪しが身体のバランスに指標として現れていると考えるといいのだそう。
標準化した片足立ちのために、このテストでは両腕を身体に沿って下に伸ばした状態で一方の足をもう一方の足の後ろ(ふくらはぎ)につけて10秒間立てるかどうかをみた(やり方は上の研究結果レポートのリンク先に写真で載っている)。2009年2月に最初のテストが行われ、その後追跡調査は202012月まで続けられ、また研究の対象者からは身体のサイズや様々な医療情報が集められた。
テストでは5人に1人が不合格となったが、その割合は51歳から55歳では5%、71歳から75歳では54%と年齢が上がるにつれて割合が高くなっていた。ルンドベリ教授は加齢そのものもバランスに影響するが、運動不足も大きく影響するという。スウェーデンでは65歳以上の人にバランストレーニングを取り入れることが身体活動のガイドラインに含められており、バランスは歳を取ると急激に悪くなるが、運動することで維持することが可能だ。
この研究は観察研究であって因果関係を示すものではなく、バランスが低下が必ずしも早死にのリスクを高めるわけではないが、リスクが高くなっているかどうかを簡単にみる方法として使えるのではないかと研究者たちはみている。同様の指標には手の握力テストがあるそうで、いずれも結果が悪い場合はトレーニングで鍛えることができる。歳をとっても身体は使えばきちんとその分反応する。ヨガを始めて4年、私もバランスはすいぶんよくなったことを実感してます。