swelog ニュースで語るスウェーデン

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すっぽんぽんの話題2題。カレンダーと写真展

つい先日までルンドの中央図書館で開催されていた「みんな裸(Alla är vi nakna)」という写真の展覧会で取った写真をどう使おうかと思っていたのだけれど、今日のこのニュースになら合うかもしれない。でも、村民が裸になった写真を使った、ただの(?)おもしろカレンダーのニュースなのかと思ったら、その背後には経済成長期に起こった悲しい出来事があった。

スウェーデン北西部の小さな村Jutis(ユーティス)は、2008年から毎年、年ごとのテーマに合わせて村民が素っ裸で写真のモデルとなって登場するカレンダーを作成して販売している。裸といってもエロチックなものではなく、モデルになってくれないかと声をかけられた人はちょっと誇りに思うくらいの、あっけらかんとした明るさに満ちた写真で構成されている。というもの、このカレンダーの収益の一部はがん研究基金に寄付される仕組みで、ユーティスはこれまでに45万クローナ(約640万円)を寄付してきた。

この村は1970年代にHormoslyrという除草剤の散布に従事した男性の多くが死亡したことで未亡人の村として全国に名前を知られるようになった。Hormoslyrは1950年代にこのあたりの森林にまかれた除草剤だ。

今年のカレンダーは、SVTの人気のドラマ「水辺の出来事」に沿ったテーマにしているそうで一部150クローナで下記のリンクから注文できる。これまでに販売されたカレンダーで使われた写真も見れるので、どんなものか興味が出た人はこちらからどうぞ。

Jutiskalendern – Jutis

カレンダーを買ってくれたらユーティスの人はとても喜ぶと思う。

ユーティスのカレンダーが帰ってきた・今年はインドのシヴァ神をイメージしたヌードも(SVT)

今年のカレンダーは「水辺の出来事」にインスパイアされた(SVT)

一方ルンドの図書館でのみんな素っ裸な写真展示会は、フォトグラファーのアンドレアス・ポールソンによるもの。

彼もモデルの一人だが、この展示会は服と共に役割も身にまとうようになった私たちが、性別、性自認、性的指向、階級、民族性、宗教、年齢、生涯、職業、文化、家族関係などを脱ぎ捨ててた時、誰になるのかという問いを投げかけている。すっぽんぽんだが性器は映さないユーティスのカレンダーと違い、こちらのモデルたちはみんな見事に素っ裸で微笑んでいる。写真は等身大だ。

この展示会はマルメの図書館で開催された時にはバンダリズムにあった。ポールソン自身の裸の写真の男性器の部分を切り取った男性は、展示会を強制わいせつだと、警察にも通報していた。

その後、ルンドの図書館で開催されていたことは知らなかったので、図書館に足を踏み入れた時、私はちょっとびっくりしたけど、すぐ横で学生たちが真剣に勉強してたりしてこういう裸のノーマリゼーションもいいかな、とすぐ思い直した。

マルメの裸の写真展、バンダリズムに合う(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023