swelog ニュースで語るスウェーデン

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スウェーデン最大の環境スキャンダル・カリンゲのPFAS

やはり日本で問題になっているのと同じパターンだったのか!と思う。前回PFASの記事を取り上げた時に少し触れたブレーキングのカリンゲでの水道水のPFAS汚染の件だ。

これまでに他にもスウェーデンの湖とバルト海でとれた魚で同様の研究が行われ、やはり高濃度のPFASが検出されたこと、PFAS関連の一番大きなスキャンダルとしては、ブレーキンゲのカリンゲで影響を受けた住民が自治体の水道会社を訴え、目下最高裁判所で審理されている件などがあることが伝えられている。

PFASとザリガニ - swelog ニュースで語るスウェーデン より

最高裁での判決が近いということで、また報道がではじめたけど、昨日読んだ記事にはこう書かれていた。沖縄で問題になっているのと同じく、PFASの出処は軍用地で使用された泡消火剤だ。

カリンゲの水源は、F17空軍基地の消火訓練で出た消火用泡で汚染されている。空軍は1980年代半ばから泡消火剤を使用してきた。

- これはスウェーデン史上最大の環境スキャンダルだ、とマティアス・オベリは言う。

飲料水中のPFASの許容レベルは、これまで1リットルあたり90ナノグラムだったが、2026年からは4ナノグラムという、より低い許容値が適用される。カリンゲでPFASが検出されたとき、飲料水1リットルあたり10 380ナノグラムだった。

PFASとザリガニの件でもコメントしていたマティアス・オーベリさんは、カロリンスカの有害物質研究者で、今回このカーリンゲの件で最高裁判所が出す判決は、PFASと同様に、ゆっくりと体内に蓄積されていき、深刻な病気につながる他の有害化学物資の訴訟の重要な先行事例になると考えている。

今回の判決はスウェーデンの消費者にとって、重要な決定となることは確実。カリンゲの住民は長期間に渡り汚染水を飲料してきたことはわかっているし、それが健康被害を引き起こすことも理解されている。問題は危険な物質に長期間さらされてきた人々と健康被害の関連を、どのように証明するかであるとオーベリは言う。

そう言えば昨日のブログに書いたすっぽんぽんのカレンダーのユーティスの除草剤スキャンダルの件では、除草剤が撒かれたのは1950年代、それに関わっていた男性たちが次々に死んでいき、村が未亡人ばかりになったのは1970年代と説明されていた。

カリンゲで2013年12月にPFAS問題が発覚してから、SVTが報道してきた106本の記事が特設サイトにまとめられている。

カリンゲの飲料水スキャンダルニュースまとめサイト(SVT)

これをぱらぱらと眺めていると、ルイーズさんという人の調子がどんどん悪くなっていっている様子がわかる。自分でもこの先もさらなる病気にいつ襲われるかどうかわからない時限爆弾を抱えているような状態だと思うし、子どもたちのことを思うと本当に腹が立つと言う。彼女たちの健康が戻らないなら、せめて公平な判決がくだされることを望む。

まもなくカリンゲの水道水汚染の件で最高裁の判決が下る(SVT)

ルイーズ・カールソンコメント「家族全員がPFASに汚染されている」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023