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へその緒を切るタイミングに関するスウェーデンの研究が未熟児を救う

昨日発表されたBBCの今年の「100 Women (100人の女性)」に、五ノ井里奈さんが選ばれたことが日本でも大きく報道されればいいなと思っているが、今年の100人にスウェーデンから選出されたのは、以前このブログでも取り上げた、世界で初めての女性の骨格をベースにした交通事故衝突実験用ダミーの開発責任者、アストリッド・リンデール教授だ。

swelog.miraioffice.com

女性は男性に比べて、交通事故にあったときの体への衝撃が激しく、特に女性の首は男性に比べて半分以下の保護力しかなくむち打ち症になる可能性が著しく高い。にも関わらず、これまで交通事故の衝突シミュレーションに使われるダミー人形は、すべて男性の骨格をベースに作られていた。

女性の命はここまで軽く扱われてきたのかと思うが、世の中にこんな変革がもっともっと起こっていけばいいなと願う。みなさん、もう、この本は読んだよね?

www.kawade.co.jp

前置きが長くなったけど、今日の話は、この話とちょっと似ているような似てないような。

2011年にウプサラとウメオ大学の研究者たちが発表した、へその緒を切るタイミングに関する新しい処理方法が、スウェーデンから世界に広がり、未熟児の出産直後の死亡リスクを劇的に減少させたという話だ。記事には、イギリスとオーストラリアの研究者が比較分析した結果、リスクは少なくとも3分の1減少した、と書かれている。

小児科医のオラ・アンダーソンが率いる研究者たちが発表したのは、産まれたばかりの子どものへその緒を切るタイミングを数分間遅らせると、子どもは鉄分の豊富な血液を1デシリットル多く受け取ることができ、生後4ヶ月で比較すると鉄欠乏症のリスクが大幅に減少したというもの。

この発表以来スウェーデンでは鉄欠乏症児の発生率が90%減少した。またその他にも未熟児の場合にへその緒を切るタイミングを遅らせることの利点は多いと想定されてきたが、今回発表されたイギリスとオーストラリアの研究はこれをメタアナリシスで分析したもの。

オラさんは、この新しい研究の結果を喜んでいたが、へその緒を切るのを遅らせている間、新生児の体温は低くなりがちなので、待っている間赤ちゃんを暖かく保つことはとても重要だと強調していた。

当たり前だと思っていたけど、これまでなぜなかったのか?やっていなかったのか?ということは世の中にまだまだ結構、たくさんありそうだよね。

世界初の衝突実験用女性形ダミーの開発で、BBCの100 Womanに選ばれる(SVT)

へその緒の遅切りが未熟児を救う(ダーゲンス・ニュヘテル)

* さて、今日の写真は、最近店頭に並び始めたスウェーデンの冬のお楽しみ、ルッセカット(サフランパン)の広告。今回は、毎年11月に行われる前立腺がんの啓蒙キャンペーンとのコラボで、普段はみることのない特徴のある形のルッセカットをモチーフにしている。添えられているコピーも「50歳になった?前立腺の検査をうけようぜ!」って! この広告、現代の日本じゃぜったいありえませんな☺︎ 

この男性器型ルッセカットの作り方を知りたい方はこちらからどうぞー。

 
 
 
 
 
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