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軍事産業好調、女子中学生の体験入隊のニュースに、自分が受けた平和教育を思う

想像に難くないが、スウェーデンの軍事産業が好調だ。カールスボリで1870年代から弾薬を作っているNammo社では、ロシアのウクライナ侵攻後、北欧各国の軍隊からの注文が相次ぎ、今は人員を倍増させて3交代制でフル稼働している。

ニュースで印象的だったのは、人々の意識が変わってきているのか、これまでは難しかった求人がやりやすくなってきているとのCEOの言葉だ。

Nammoは平和維持のための軍事力装備目的にしか弾薬を販売しないとして、北欧各国の国防軍とごく一部のNATO加盟国しか弾薬を販売していない。現在同社への発注が増えているのは、各国が徴兵を強化して部隊の数を増やしているからで、それにより訓練の必要な弾薬も増えている。同時にニュースでは、スウェーデン軍に納品された弾薬の一部は、ウクライナ支援のために送られたことも伝える。今は平和維持のためでも、これからの国が戦争に突入したり、また支援のためにどこかに配備されれば、もちろん弾薬は戦場で使われることになるのだろう。

少し前には、スウェーデンの中学校でよくやっている一週間の職場体験(Prao)で、軍の連隊がある地方の中学生たちが、体験入隊に志願して、徴兵時や職業軍人として働くとはどういうことかを学んでいるようすが報道されていた。取材に答えていたのは中学三年生にあたる年齢の二人の女の子で、訓練では地雷の取り扱い方法などを学んだと話す。

スウェーデンの子どもたちと話していると、みんな政治やメディアのあり方にはっきりをした考えを持ち、人権擁護の意識が行き渡っているな、これが教育の力かと感心することがあるけど、同時に国を守るためには戦う、戦時には銃を取るということも、自然に社会の意識の中に浸透していることにも驚く。

翻るに「戦争はしない」のだと教えられた私のほうが、世界的には特殊な考え方をする人間であるということだと思うけど、これらのニュースに感じる圧倒的な違和感と、それでも戦わなくては殺されるだろうという現実的なものの見方の間で、なにを、どこで、どう叫べばいいのだろうと途方にくれる。

国連の事務次長で軍縮担当上級代表の中満泉さん、また日本人でスウェーデン人とご結婚されている中満さんのお話を、一度聞いてみたいと思う。

カールスボリの軍用弾薬工場を訪問(SVT)

ミーラとエルサはエクショーで軍に体験職業訓練(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023