遅ればせながら、つい先日『戦争のつくりかた』という絵本にあわせてつくられたアニメーションを見た。
日本ではまだ起こっていないことも多いが、戦争に対して常に準備しているスウェーデンでは、ここで挙げられていることはすでに整っている。このブログでも「軍事・安全保障」のタグで多くを扱ってきた。
そんな戦争への準備の手はずのほとんどを理解していたはずの私でも、このアニメーションの中で「これはちょっと!」とすごく暗い気持ちになったのが
わたしたちも、おたがいを見張ります。
いい国民ではない人がまわりにいないかと。
との箇所。告げ口で、人と人を敵対させ社会への信頼をなくさせ、疑心暗鬼を増長させるひどい手口だ。
そして、そんな気持ちになっていたところに届いたニュースが、スウェーデンの現政権が打ち出していた、無許可でスウェーデンに滞在している人と行政の職員が接触した場合、警察や移民局へ通報する義務の検討が具体化してきたというニュース。
昨年からの新右派政権を支える枠組み協定(Tidö協定)では、行政の職員が、無許可でスウェーデンに滞在している人と接触した場合、警察や移民局への通報の義務化を検討することが盛り込まれた。この際にも医療の現場を例外とするかどうかは、さらなる調査により決めるとされたが「私たちは通報しない」という運動は、この可能性を排除するために行われている。
すごいなと思ったのは、このニュースが発表された後すぐに「マルメ市議会は市の職員への報告義務付けに反対する」との書簡をマルメ市が政府にすぐに送り付け、そのことをプレスリリースで発表したことだ。
このような報告義務は、自治体の活動に対する信頼と信用に影響を与え、職員が業務を行うことを困難にすると書簡には書かれており、また報告義務化の提案は、倫理に反し、すでに社会的弱者である人たちが状況を改善するような支援やケアをまったく受けられるなくする可能性が高まると続く。マルメは移民が多い街で、きっと無許可で滞在している人も多い。
市長のカトリーン・シェーンフェルト・ヤムメは「マルメ市の職員が、政府の排外主義の手先になってはいけない」と強く批判している。
引かれた綱は引き返す。カトリーン、いつもかっこいいな。