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ビデオ会議の労働環境

ビデオ会議への出席は従来の会議に出席するよりもストレスフルなので、スウェーデンの労働環境庁は、雇用主にデジタル労働環境との付き合いかたの指針を作成するように要求している。よりストレスがたまる一因は「常に見られている」という感覚だ。

通勤時間がなくなるなど、リモートワークには様々な利点があり、これを望む人も多いが、デジタル労働環境、中でもビデオ会議は、人々を疲れさせることがスタンフォード大学などで研究でも明らかにされている。

疲れる理由として考えられているのは、まずビデオ会議は常にお互いがお互いを見ており、壇上に上がって話している感覚と近いものになるということ。そしてもう一つはカメラに写っている自分と向き合うことを強制されること。ヨーテボリ大学の教育学の研究者は、自分の映像と向かい合うことは他人と自分を比較したり、どう見えているか、どう見せたいかに考えが及びやすくなり、それが気分の落ち込みやうつ、不安などの原因になると説明している。

また、デジタル会議はオンサイトの会議よりも視覚的に乱雑になりがちで、他の参加者の部屋の様子や、さまざまな背景画像が脳に飛び込んでくる。そして立ち上がってホワイトボードで説明したり、体の向きを変えたりすることのできる通常の会議と違い、ビデオ会議ではその時間中ずっと画面を見つめて座っている態勢のままであることが多く、これもよい労働環境とは言えない。

スウェーデンの労働環境庁は、雇用主がどのようによいデジタル労働環境の提供に取り組んでいるかについて、この度1500社を対象に調査を行ったが、4社に1社は労働環境管理に欠点のあることがわかった。多くの人がデジタル会議で埋め尽くされた毎日を送っているが、脳はその影響を受け続けており、回復する時間が必要。ここになんらかの改善の余地があるということらしい。

個人でもビデオ会議疲れに対してできることはいくつかあって、例えば全員がカメラをオフにするか、少なくとも自分は映らないようにするとよいらしい(それではビデオ会議ではないのだが。わはは)。

電話が発明された当時の人たちもこんな風に電話疲れしていたのだろうか?

いや、耳は目に比べると、取り入れるもの(聞くもの)をもっと選別しているような気がするし、電話疲れはそれほどでもなかったのかも。でも電話でだけのつながりや電話会議って、最近の人は知らないと思うけど「こんな素敵な声の持ち主はどんな人だろう?」など想像力を刺激されたりして、なかなか楽しいものだったのですよ(と昔を振り返る☺︎)

ビデオ会議があなたを疲れさせる理由(Kollega)

© Hiromi Blomberg 2023