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スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で住民側が最高裁で勝訴

ニュースの中で、ものすごく、ものすごく、喜んでいる人たちを久しぶりに見た。

スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で最高裁が先の判決を覆し、住民たちの損害賠償を受ける権利があるとの判決を出したからだ。カリンゲにはスウェーデン軍の基地があり、そこからの消火剤により飲料水がPFASで汚染されていた。

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10年前からPFAS(訴訟)連盟をつくって裁判で闘ってきたカリンゲの住民たちは、今回の判決により、1000万クローナ(約1億4000万円)のこれまでの訴訟費用の支払い義務も免除されることになった。

カリンゲのPFAS訴訟は、地裁では高濃度のPFASが含まれる飲料水を飲むことは人身事故で、地元のロネビュー・コミューンはPFAS連盟に対する賠償責任があると判決がでたが、その後市は高裁に控訴、ここではPFAS関連疾患のリスク増加は人身事故として分別できないとの判決がでていた。

今回の最高裁での勝訴の判決に、PFAS連盟の会長は「正義はもらうものではなく、自ら作り出すものだ。私たちはそれを成し遂げ、10年間の闘いは終わった」とコメントした。

カリンゲのPFAS訴訟はひとつの節目を迎えたが、今回の最高裁が出した判決は住民が受けた被害は人身傷害でロネビュー市には損害賠償責任はあるというものだが、補償可能な損害があるか、またあるとすればその額はどれくらいのものになるかについては、おそらく、また別の法的なプロセスが必要で、それが再度、長期に渡る可能性もある。

ロネビュー市の責任者は、この裁判には勝者はいないとコメントし、また2013年当時、スウェーデン食品庁が定める飲料水の品質基準にPFAS項目はなかったと国を批判した。

PFASの被害を受けた人たちの健康はおそらく戻ってこないけど、彼らの主張がこうして裁判できちんと認められて本当によかった。

PFAS被害者は汚染された飲料水に対する補償を受ける権利がある(SVT)

最高裁判事「住民は個人的な損害を被った」(SVT)

PFASの判決について自治体は「勝者はいない」とコメント(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023