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「国勢調査」か? 抑圧的尋問か?

極右政党スウェーデン民主党党首ジミー・オーケソンが「スウェーデンは住民に関するコントロールを失った。ここには我々の知らない影の社会が存在する」と言って、これから国税庁が5億クローナ(約64億円)かけて国勢調査を実施することを発表したが、人口学のグンナー・アンデルソン教授はオーケソンに異論を唱える。

国勢調査に関する最新の著作を出版したばかりのアンデルソン教授は、世界でスウェーデン以上に人々がどこに住んでいるかを管理している国は、おそらくアイスランドくらいしかないと言い、オーケソン党首がいまからやろうとしていることに「国勢調査(Folkräkningen)」という言葉を使うのはふさわしくないと批判する。

スウェーデンでは住民登録管理が高度に行われているため、1990年以降、いわゆる国勢調査は行われていない。今政府がやろうとしているのは無作為に人々のチェックを行い、登録されていない人々を見つけるという抑圧的な行動で、これを国勢調査と呼ぶのは間違っていると話す。

オーケソン党首がエリザベス・スヴァンテソン財務大臣と共同で行った記者会見では、この国勢調査(もしくは抑圧的尋問?)は、国税庁が「リスクエリア」と評価した場所で本人確認を行う予定だが、どのエリアをリスクがあるとして指定するのか、また本人確認は戸別訪問によるものか街頭で行うのか、などの詳細はまだ決まっていない。

先日も下記のニュースを取り上げたが、スウェーデン民主党は今の政府に閣僚こそ送り込んでないものの、現政権と結んだTidö協定により、着々とその影響力を発揮している。

昨年からの新右派政権を支える枠組み協定(Tidö協定)では、行政の職員が、無許可でスウェーデンに滞在している人と接触した場合、警察や移民局への通報の義務化を検討することが盛り込まれた。この際にも医療の現場を例外とするかどうかは、さらなる調査により決めるとされたが「私たちは通報しない」という運動は、この可能性を排除するために行われている。

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そのうちにジミーが「はいはい、外国人の方はみんなわかりやすいように、お花マークの腕章つけてね」とか言ってきたら嫌だなー。まぁ、私の外見ではそんなお花マークがあろうとなかろうと同じだけど。

政府の発表に専門家は「これは国勢調査ではない」(SVT)

スウェーデンで大規模国勢調査を実施「リスクの高いエリアに集中する」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023