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PFAS許容レベルの大幅引き下げで、多くの自治体で汚染水浄化が課題に

PFASに関する新しいニュースがでていた。これは現在水1リットルあたり90ナノグラムであるPFASの許容レベルが2026年1月1日から1リットルあたり4ナノグラムまで引き下げられるというもの。SVTの調査によると、いくつかの自治体で将来の基準値を上回るPFASを含んだ水が供給されていることがわかっている。

高濃度のPFASを含んだ水を飲んでも急激な毒性はないが、対策が必要であることはわかっている。デンマークはEUの中で最も低いPFAS許容値を設定しており、既に水1リットルあたり2ナノグラム。カロリンスカ研究所のマティアス・オーベリ准教授は、スウェーデンはもっと早くに低い基準値を設定するべきだったという。研究者たちは10年以上前からPFASの削減が必要だと訴えてきた。

今回のSVTの調査は食品庁の最近マッピングで飲料水に化学物質が含まれていた70以上の自治体や水道局に問い合わせを行ったもので、そのほぼ全ての飲料水にPFASが含まれており、2026年からの1リットルあたり4ナノグラムの新基準を超えているところも多い。

業界団体のSvenskt vattenは、多くの自治体でPFAS汚染水浄化の新技術に投資することが必要となり、その初期投資は60億クローナ(約840億円)、年間あたりの維持費は10億クローナ(約140億円)になるだろうとみている。

これにより多くの自治体で水道料金の値上げを余儀なくされると考えられるが、環境法の原則に照らし合わせて考えると、PFASの浄化も本来なら汚染した側が費用を払うべきだとSvenskt vattenは訴える。PFASが飲料水に交じる最も一般的なものは、ゴミの保管所や、軍隊や救急隊が使用するPFASを含む消火用泡が空港や消防訓練場などで使わるといった例だが、他にもカーワックス、テーブルクロス、殺虫剤、化粧品、傘、ピザの箱、デンタルフロスなどにもPFASが含まれている可能性がある。

今世界で最もよく使われているのは、活性炭(Aktivt kol)の浄化槽に水をさらしてPFAS汚染水を浄化するというもので、これによりPFAS含有量は大幅に低下するが、上記のようにコストがかかる。でもまだ除去方法があるだけましなのかな。活性炭すごいな。

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SVT調査・数十万人のスウェーデン人は汚染された水を飲んでいる(SVT)

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© Hiromi Blomberg 2023