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本を消耗品として、捨てる

ウメオの図書館の日本語本コーナーはどのように運営されているのだろうか?

多くの本は古本としての価値がなく、セカンドハンドショップでも引き取ってもらえないためどんどん捨てられている。ストックホルムのリサイクルセンターでは2022年に1030トンの本を回収した。本の平均的な重さを300グラムとして計算すると、これは約340万冊強に相当する。

幸いなことに回収された本は燃やされるのではなく、製紙工場へとリサイクルに回され段ボールや新聞紙用紙として再生される。私たちは新聞紙(といってもスウェーデンにはもうほとんど残っていないが)を捨てることにはあまり抵抗がないが、本を捨てることには強い抵抗がある。しかしスウェーデンでは、もう「本は消耗品である」と割り切らないといけないようである。本を捨てることはタブーから必然になりつつある。

1970年代初頭、スウェーデンでは約2000タイトルの本が出版されていたが、これが2015年では6300タイトル、そして昨年は17200タイトルまで増えている。本が簡単に作れるようになり、また販売される場所も本屋からスーパーやキオスクに広がった(同時に本屋がなくなっていったのは皮肉だ)が、本は今では紙だけではなく、オーディオや電子書籍の形でも提供されるようになった。

中古本として最も価値のないのはハードカバーの小説だが、ノンフィクション、写真集、美術書や歴史書などニッチで強力なファンのいるジャンルの本はまた中古品として価値がある。大きな小説本は持ち運びもできず、家のなかでも場所を取る。特に住宅価格の高い都市部では、かさばる本を本棚に並べておく必要も、余裕もない。また最近のトレンドとして、本棚はデザイン小物を並べておく場所になり、インテリアのアドバイスを扱った記事では、本棚には本はほとんど並んでいない(こちらも)。

記事で紹介されていたストックホルム郊外のブロッマのリサイクルセンターでは、本ををそのまま捨ててリサイクルできるようだが、私の住むルンドでは、しばらく前に調べた時は、表紙と糊付け部分をとって紙だけ新聞紙と同じ古紙回収箱にいれてくれ、とちょっと捨て方が面倒だった記憶がある。もしかしたら、もうルンドでも、そのまま捨てることができるようになっているのかもしれないなぁ。

本が消耗品となるまで(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023