swelog ニュースで語るスウェーデン

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スウェーデンの女性の国会議員の発言時間が大幅増加

スウェーデンの国会議員の男女比は、2000年代に入ってからは男性が53〜56%、女性が44〜47%の間で推移しており、女性議員の数が過半数となったことはないものの、ほぼ半数という感じで落ち着いている。

しかし国会で誰が発言しているかを精査すると、これまでは発言台で話しているのは男性議員による時間の方がかなり多かった。2022年9月の選挙のあと、昨年末までの国会での個々の議員の発言時間をSVTがまとめたところ、前回の選挙の同時期(2018年9月〜2019年11月)での調査結果と比較して、女性議員の発言時間が全体の38%から47%へと大きく増えていた。

https://www.svtstatic.se/image-news/650/wide/0.5/0.52/cbb49d524c84c26ced2645d82edc1460bfbf8eb40dade043d39ab56c48978225

グラフ・SVT

女性がその場にいても発言できないようでは意味がなく、そう言えばニュースにおける発言者のジェンダー平等に関してニュースレターを書いたことを思い出した。この時は「ジェンダー比率に意識的に注意を払わないと、変化は起こらない」としてこのような専門家の意見を紹介した。

しかしニュースの中での女性率は増えたとはいえ、ニュースに登場する「専門家、エキスパート」のジェンダー比率をみると、ここではスウェーデンでも女性比率はたったの21%。エドストロームさんは「メディアで話すということ自体が一種の権力を示すことになるので、ニュースの編成局はコメントを求める人のジェンダーにもっと自覚的にならないといけない」と話しています。

ニュースとジェンダー | 北欧通信

権力を象徴する場で誰が話しているかということの影響力は大きい。世界一ジェンダー平等が進んでいるアイスランドではこんな逸話もあった。

3月8日の国際女性デーの取材でアイスランドを訪れたSVTの記者に、現首相(女性)が自分の姪が「え、男でも大統領になれるの?」と言った逸話を披露していた。1980年に大統領に選ばれたヴィグディス・フィンボガドゥティルはその後16年間も大統領を務めたが、彼女の後継者が男性だったことがこの姪御さんの発言につながっている。

アイスランドがまぶしい - swelog ニュースで語るスウェーデン

今回の調査で一番発言時間が多かったのは環境党のグループリーダーのアニカ・ヒルボネンさん。調査結果には彼女自身驚いていたが、「しっかり説明しないといけない重要な案件が多いし、環境党は議員の数も少ないので一人当たりの発言時間が多くなったのかもしれない。結果は自分の仕事を果たしたということで、嬉しく思うし、政治的な議論に参加することはとても重要だと考えている」と話している。

この取材で「お前なにしてたんや」と責められ気味で取材されていたのは、もちろん国会でほとんど発言していない議員たちでした。

国会で最も多く(そして最も少なく)発言した議員はこの人たち(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023