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リベラル(党)が死んでいく

そして、スウェーデンの移民政策は大転換し、原子力発電所新規建設と再稼働はエネルギー政策の中心に添えられ、「スウェーデンの文化」をもっと行き渡らせるような文化政策がとられる。昨日、右派陣営が発表した今後の政権運営に関する合意の大枠は、ざっとそんな内容だ。

17世紀に建設されたティード城に閉じこもって交渉が行われたことから「ティード合意」と呼ばれることになった今回の新政権の大枠合意では、極右政党のスウェーデン民主党は大臣のポストを得ることはなかったが、その代わりに移民政策や犯罪取締り、文化政策などの分野で、政策の決定に大きな影響力を持つことになった。

(右派連合政権による新しいスウェーデンはこんな感じだ)

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ティード合意は、今日15日(土)に正式提案が行われて、月曜日に穏健党党首のウルフ・クリステルソンを首相として選出するかどうかの投票が国会で行われ、火曜日にはクリステルソンが新政府の閣僚を発表し、国王が彼を首相に任命するというセレモニーが行われるはずである。

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私が上の記事で2%くらい期待したミラクルは結局は起こらなかったが、しかし、昨日の発表にリベラル(自由)党の数人の議員たちが、強い反意を表明し始めた。

元国会議員でリベラル党の重鎮バルブロ・ヴェステルホルムは、今回の結果に落胆し、離党するかどうか一晩寝て考えると発言。リベラル党党首経験者のマリア・レイスネールは、ティード合意の発表に涙したと語り「リベラル党が死んでいくところを目撃しているようだ」とコメントしている。またリベラル党青年部は月曜日の首相選任投票でクリステルソンにNOと投票するように、党の国会議員たちに要求している。

リベラル党青年部役員のアントン・ホルムフルトは「リベラル党は右派政権がポピュリズムに傾かないように右派連合の一員として目を光らせると国民と青年部に約束したのに、今回の合意で発表された、難民のための中間待機場所の設置や、犯罪検挙のために匿名の目撃者を有効とすること、そして難民受け入れ数の大幅削除などは、青年部として到底受け入れられる内容ではない」と批判する。他には発展途上国への援助金の大幅削除の合意に、深く嘆く古参議員もいる。

一方でリベラル党党首のヨハン・ペーションは「すべてのリベラル党の国会議員は月曜日にはクリステルソンの首相選出にYESの投票を行うと合意している」と明言しており、これからのスウェーデンがティード合意の元で運営されていくことはほぼ間違いない。

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アフトンボラーデットのアンデシュ・リンドベリは、昨日発表した論説で、9月のスウェーデン選挙の後にドイツの風刺画家Harm Bengenが発表したイラストに言及し、また2017年当時それまではまともな党として扱われていなかった極右政党のスウェーデン民主党と協力体制を図る緒をつくった、当時の穏健党の党首アンナ・シンベリ・バトラへ、ホロコーストを生き残ったエメリッヒ・ロートさんが送った言葉を紹介している。

https://www.harmbengen.de/toonpool/2022%2009%2015%20Schweden-Rechtsruck.jpg

「悪が制服とブーツを身につけて憎悪を撒き散らしているだけであれば、それほど危険なものではないのです。悪がスーツを身にまとい、借り物の言葉で表面を取り繕う時こそ本当に危険なのです」

新しいティード合意の内容(アフトンボラーデット)

リベラル党内からティード合意へ強い批判(SVT)

月曜日、私たちは新しくなったスウェーデンで目を覚ます(アフトンボラーデット論説)

© Hiromi Blomberg 2022