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「スノーボール」とアーティストへの権利

1974年に販売されて以来世界中で売れ続けている、オレフォーシュ・コスタボダ社のキャンドル台「スノーボール」。我が家にも3つほどある。

このスノーボールをデザインしたアン・ヴォルフさんが、当然受け取るべきロイヤリティを受け取ってこなかったと1500万クローナ(約2億1200万円)の支払いを求めて同社を訴えた。

ヴォルフさんは当初2%のロイヤリティを受け取っていたが、発売開始から10年経った1984年にロイヤリティの権利を消失するという取消書を受け取った。今回ヴォルフさんは、1972年に交わされた契約書にはロイヤリティを受けとる期間に関して明確な期限の記載はなく1984年から現在までに至る遡及的な補償を求め、さらにロイヤリティを受け取る権利はスノーボールが生産され続ける限り彼女の死後70年までは発生するとオレフォーシュ・コスタボダ社を訴えた。2016年に出た新聞記事では、スノーボールはその時点で既に1500万個以上売れていることがわかっている。

ヴォルフさんが今回訴訟を起こした背後には、2023年1月1日から施工された著作権に関する法規の改正がある。これは、昔の契約書に基づき決められたロイヤリティ収入がひどくバランスに欠けて低いものだった場合は補償を求めることができるというものだと、スウェーデン芸術家連盟の弁護士が説明していた。

ヴォルフさんはもしも支払いを受けることができれば、女性アーティストへの奨学金財団を立ち上げたいと夢を語る。その財団に「スノーボール」という名前を受けることができればと、彼女の目が輝く。

オレフォーシュ・コスタボダ社のセールス責任者は、著作権に関する法規改正で触れられている古い契約書とは2003年1月1日以降に締結されたものを指すと理解していると話したが、現在進行中の紛争についてこれ以上のコメントは差し控えると述べた。

うちにはスノーボールは3つ「ほど」と書いたのは、そのうちの1つは義母がゴミ処理場併設のセカンドハンド店で「ただみたいな値段」だったと買ってきてくれたニセモノだ。いつも微妙な気持ちで本物の隣に並べているのだが(上の写真でどれがニセモノかわかるだろうか?)、アーティスト・デザイナーには低いロイヤリティ問題以外にも、ニセモノ問題もつきまとう。私はニセモノは処分しようっと。廃棄すればいいよね。

スノーボールのアーティストがガラス企業に1500万クローナの支払いを求めて提訴(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023