文学作品を書く人も、読む人も女性。
そんな傾向が近年、スウェーデンでははっきりしてきているようだ。今年、文学作品で作家デビューしたうちの72%までが女性で、スウェーデンの一番重要な文学作品賞であるアウグスト賞では、今年の21のノミネート作品のうち15までが女性により書かれたものだ。文学系の高等教育機関でも学生として入学してく来る人は、圧倒的に女性の方が多い。
大手出版社の一つノースタッドの編集者によると、この傾向が目立ってきたのはここ10年くらいだという。
日本語で「文豪」という言葉を聞くと、なんとなく私たちは夏目漱石や森鴎外など男性作家を思い浮かべてしまうように、スウェーデンでも「偉大な作家」は男性のイメージであった時代があったようだ。
統計的に確認がとれていることではなく、記事中の談話や私の受けた印象にすぎないが、今、女性は早くから作家になることをめざすが、男性は途中で作家に転向する人が多いようだ。
これがいっときのトレンドなのか、今後の続くはっきりとした変化の兆候なのか? 女性の置かれた状況、書く意欲はどこから湧くのかといったことなども含めて考えると、なかなか多くの論点を含んでいそうである。