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オリエンテーリングとオリンピックと政治的発言

スウェーデン語を習い始めた時、日本語になっている数少ないスウェーデン語の単語のひとつとして教えてもらったのが「オリエンテーリング」だ。(あともうひとつは「オンブズマン」だ)。

それまで私が持っていた「コンパス片手に目標地点を見つけながら歩いていく」という、屋外で行う知的なゲームといったまちがった理解とは異なり、本当のオリエンテーリングは地図をみながら野山をかけまわる、頭と身体を使ったハードな競技

ルートも決まっていない森の中を駆け抜けるという競技特性から、観戦することもテレビ中継することも難しいのでなかなかイメージが湧きにくいが、『カムイ外伝』を知っている人なら「しのびがとおる、けものみちー♪」の主題歌のイメージに近いかも。発祥は19世紀後半のスウェーデンのの軍隊での訓練に遡るというのもうなづける。

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このオリエンテーリングをオリンピック競技にしようという動きはずいぶん前からあるそうだが、その会場の確保(他の競技場とは離れた山の中)やテレビ中継の難しさから未だに実現していない。

そして、今回、中国で実施された国際大会の結果を契機として、スウェーデンの歴代有名選手が「オリエンテーリングはオリンピック競技には向かない」と発言している。何が起こったのか?

この大会ではそれまでまったく注目されていなかった中国の選手が入賞したが、この選手の走力には目覚ましいものはなく、事前に地図を手に入れるなどで自分の走るコースを決め予め走っていた疑いが持たれており、現在その不正疑惑に関して調査が行われている。

先の発言をした歴代有名選手は「オリンピック競技になると、そのステイタスと社会的地位を求めて、競技の本来の意味とはかけ離れた行動をとるものがでる。競技のステイタスが上がることで競技本来の意味をなくしてしまうのならオリンピック競技種目入りを目指すべきではない」とコメントしている。オリエンテーリングの競技の半分は地図を読んでその場でコースを決めていくところにあるのだから、この人の怒りも当然である。

さらには、この中国での大会で今年の世界トーナメントで総合1位に躍り出たグスターブ・ベリマン(上のインスタグラムの投稿も彼のもの)が、「中国では人権が守られておらず、オリエンテーリングに大切なフェアープレイの精神もない」と発言するといった事態にも至っている。

普段は北欧を中心とした地味な競技であるオリエンテーリングは、こんな形で注目が集まるのは好んでいなかったのかもしれないが「オリンピック競技になりたくない」という考えかたはしごくまともで未来的だ。どうかオリンピック競技にされないよう頑張ってほしいw。

「オリンピック競技を目指すのは間違った方向だ」と、オリエンテーリング識者が中国の不正の後で意見表明