swelog ニュースで語るスウェーデン

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2020年8月14日、今日のスウェーデンでの住みごこち

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いや、今日の話はルンドで続いた放火や、今日の早朝に起きたマルメの商店を狙った爆破事件とかで身の危険を感じるかといった問題ではなく、はたまた、コロナ対策でマスク着用に関する要請も推奨もない、世界でごく数少ない国のひとつになってしまったスウェーデンに住んでいてどう?、とかの話ではなく、私がこの先、この国に住めなくなる日がきても不思議じゃないよなぁ、と思ったニュースに関する話です。


来週から学校も始まり公共交通機関が混雑することは目に見えているのにマスクなしで私たちは大丈夫なのか問題で、公衆衛生庁のアンデシュ・テグネルがまた昨日の夜のニュース番組に呼び出されて回答しているのを聞いていたら、番組はそのまま今、コロナ関連以外では一番大きな政治的論点となっている難民受け入れ、ひいては移民政策のニュースになった。

あー、今日は疲れたなぁ、早くお風呂に入って寝よう、と思っていたら聞こえてきたのが、コロナ禍では影の薄かった極右政党のスウェーデン民主党が新しく提出した移民政策に関する5つの提言。

え、今なんて言った? と身を乗りだして聞き直したら、その提言の中には「永住権の廃止」と「スウェーデン人以外の住民への福祉サポートの制限」が入っていた。

あーなんかイヤな感じ、と思ったけど昨日はそのまま寝て、今その提言の内容を読んでみようと検索したら、それは大手新聞ダーゲンス・ニュヘテルに昨日の日付の寄稿記事として掲載されていた。

うーん、これだけでも今まではちょっと違う感じだけど、内容をざっと読んでみた感想はさらにこれまでとはちょっと違った。

しばらく前に「図書館の本の貸出をスウェーデン人だけに制限する」みたいな、ちょっとアホちゃう?レベルの提言をしていた時とは異なり、今回の提言は私が読んでも「うーん、これは多くの人の心にアピールするかも…」と思ってしまうほど、よく書けていた。

スウェーデンの舵取りを決める前回の選挙からちょうど2年近く経ち、これからまたさらに2年で経てば次の選挙がやってくる。この2年先の世界から振り返った時、昨日の提言が「2020年8月13日のあのスウェーデン民主党の提言が、その後のスウェーデンの難民、移民政策、ひいては国がどうあるかの世論形成に大きな影響を与えたんだよね」みたいな大きな分岐点になってなければいいんだけど……

私のように20年もこの国に住んでせっせと税金も納めてきているような立場の人は、「今問題になっているのは”難民”の受け入れで私たちのことじゃない」と思ってしまいがちだが、いや、これは私たちの話だ、と私は思う。

そして、じゃ移民である立場が心配のならいっそのこと国籍をスウェーデンにかえればいいじゃないか、という問題でもないことは、今のアメリカのBlack Lives Matterの動きを見ていれば明らかだ。さらには第二次世界大戦の時にアメリカに住んでいた日系移民や日系アメリカ人の人たちに起こったことも、また少し思い出しておくといいかもしれない。

かと言って肝心の住みごこちは、今日も気候温暖化の影響かすごくいい天気だし、、、はい、今日も気分よく暮らしていけそうなんだけど、この先に気がついたら茹だったカエルみたいになっている日がやってくるのだろうか?

寄稿「これがスウェーデン民主党からのスウェーデンの移民政策への提言です」

© Hiromi Blomberg 2023