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セメント業界の二酸化炭素とCCS

スウェーデンのセメント製造業最大手でゴットランドに工場を持つCementa(セメンタ)。

セメントは原材料(石灰石)から加工する際に大量のエネルギーを必要とし、またその製造過程で石灰石を熱分解する際の科学的反応により二酸化炭素がでるという、二重の意味で気候危機変動に対して根本からの対応が迫られている業界である。

そんな中で、Cementaはこの先10年で二酸化炭素排出量をゼロにすると発表

Cementaはまず、現在工程で使用されているエネルギー資源としての石炭の使用を2026年までにやめる。石炭のかわりに使用するエネルギーをゴットランドに供給するため、新しく大量の電力輸送のための海中電線が引かれる予定だ。

そして、Cementaがそのドイツの親会社であるハイデルベルグとまたハイデルベルグのノルウェーの子会社Norcemと目下推進中なのが、二酸化炭素の回収と貯蓄を意味するCCS(炭素隔離貯蓄技術 Carbon Capture and Storage)という対応策。

その手法はセメントの製造過程で出る二酸化炭素を圧縮して液体化。それをフェリーに積んでノルウェーのベルゲン近くの現在建設中の新施設に運び、そこで海底3キロの海中に貯蓄するというものだ。

CCS(Carbon Capture and Storage) | 環境用語集 | 環境ビジネスオンライン

CCSという手法は初めて耳にしたが、排出した二酸化炭素をチャラにできる画期的な手法だとされていて、セメント業界のように企業の存続そのものと二酸化炭素が切り離せない業界や、火力発電所や製鉄所などその他の二酸化炭素大規模発生源でも実証実験がすすめられている。

石灰石が豊富でセメント製造企業が多い日本でもCCSの実証実験はいくつか進行中のようだ。

CementaとNorcomは世界をリードする形で実用化をすすめているが、CCSは処理の過程で大量のエネルギーを必要とすること、またその安全性や効率面でもまだ不確かなところが多いということで、批判の声も高い。

また、CCSで処理するからいいや、となって産業界や私たちのマインドセットが変わらないのであれば、未来につなげる意味のないプロジェクトになってしまう。

SVTのニュースは、このややこしい壮大なセメント問題をCementaの工場長に密着取材するという方法で伝えており、彼の「スウェーデンから未来のセメント業界の新しいカタチを作り上げていくという使命にワクワクしている」というコメントでニュースクリップを締めくくっていた。

4分の短いビデオでCCSの概要と問題点を理解し、そして私たちの日常から遠いセメント工場の世界で起こっている出来事を少し身近に感じることができた。

しかし……、人類が勝手に表面を削り取ったり、パイプを突っ込んでいろんなものを吸いとったりした挙げ句、核廃棄物や二酸化炭素など、また処理に困ったものをどんどん突っ込み返されたりしてして、地球は怒ったりしないのだろうか? 

今日は地面にむかってありがとうと伝えながら過ごそう。

セメント工場長は「変革へのプレッシャーは感じるが、ポジティブなものと受け取っている」