個人情報の取り扱いやセキュリティー上の懸念が取り沙汰されるCloubhouse。スウェーデンの公共放送でもIT倫理の専門家の意見が紹介されていたので、今朝はこれを取り上げます。
- Clubhouseは利用者の連絡先に登録されている電話番号にアクセスし、この情報を利用することができる
- ClubhouseはGDPR(一般データ保護規則)を守っているか疑わしい
- Clubhouseはアプリ内で交わされた会話を録音記録している
Clubhouseの利用者が爆発的に増えるに従って、上記のようなClubhouse利用に際しての懸念点が指摘されることも増えてきた。
利用者がClubhouseにiphone上の連絡先にアクセスを許可することで、Clubhouseは、まだユーザーにもなっていない人の情報を集めることができる。問題が起こった時に使用するとされているアプリ内の会話の録音記録は実際にはどのように使われるのか、またその記録用サーバーはどこにあるのか(一説では中国)など、具体的なことが透明ではないといった数々の問題点が指摘されている。
私は数日前に津田大介さんのポリタスTVでこのあたりに関するの解説を聞くことができたので、問題点をわりとよく理解していると思う。今回、SVTでのインタビューに答えていたIT倫理に詳しい作家でセミナー講師のペール・アックスボムさんによる問題点の指摘もだいたい同じだった。
アックスボムさんはさらに「今Clubhouseのセキュリティや個人情報のことをみんなやっきになって話しているけど、これはClubuhouseが利用者にいちいちはっきりと「連絡先へのアクセスを許可しますか?」といったメッセージを表示して確認しているからであって、他のアプリでも同様の仕様になっているものは多い。これまでも私たちは知らないうちに同じようなことを他のアプリでも許可している」と話す。
例えば日本のアプリだと、LINEにも電話番号から友達を自動的に追加できる機能がある。この機能を使うかどうかはユーザーが自分で選べるとはいえ、この機能をオンにするとLINEを使っていない人の個人情報をLINE側に渡してしまうという点は、Clubhouseで今みんながわーわー言っている問題点となんらかわりはない。
Clubhouseで今ドイツ当局が指摘している問題は、集められた個人情報や録音ファイルをその後Cludhouseがどう扱っているのかなどが不透明だという点が主眼で、利用者以外の個人情報を集めることに問題がないとは言えないが、これをやっているのはClubhouseに限ったことではない。
要はClubhouseはユーザーに対して「うちのアプリはユーザーの友だちの個人情報も集めてます」とバカ丁寧に(?)とてもはっきりと伝えたから目立っているだけで、同様の個人情報を集めるだけなら同じことは他のアプリでもずっと行われてる。
そっか、これまで自分が各種アプリ企業に何を手渡してきたのかに、改めて気づく。
そして、スウェーデンのプライバシー保護庁は「当面はドイツでの動静を見守り、特にスウェーデンからの独自の問題提議は考えていない」とスウェーデン・ラジオの取材に答えている。さて、Clubhouseの人気はどうなっていくのかな?