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コロナで危機に直面するスウェーデンの森

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毎年、スウェーデンのおいしいベリーを摘んでくれていたのも、美しい森を育ててくれていたのも東欧やウクライナ、またはタイといった国々からの季節労働者の人たちだ。

「緑の黄金」と呼ばれるスウェーデンの森は、今は外国からの季節労働者なしでは成り立たない産業構造になっている。昨秋から準備され厳しい冬を越した3億から4億もの苗は、今この季節に植えられるべきなのだが、労働者力が圧倒的に足りない。

その数は森林業界で働く人たちの労働組合GSによれば5000人、スウェーデンを代表する森林企業Sveaskogによれば2000人から3000人ほどと見積もられており、両者の数字に開きはあるが、いずれにせよ簡単には確保できない人数だ。

Sveaskogはフィンランドのように国境閉鎖の特別緩和許可により国外からの労働者がスウェーデンの森で働けるよう政府に依頼を出しているが、スウェーデン政府はまずは国内の若い求職者や今回のコロナで失業した人たちから雇用する努力を続けるべきだとして、両者の話し合いは今のところ平行線だ。

もしもこのまま必要な労働力が確保できなければ、準備した苗は無駄になってしまいSveaskogの試算ではその額は数十億クローナ(数百億円)レベルに達する恐れがある。

私はこれまでにストックホルムから最北のアビスコまで何度か列車で旅行しているが、この旅では行けども行けども車窓の外には森が続く。上に書いたようにこのニュース記事には「植える苗の数が3億から4億」とあり、この数は多すぎるのではないか、読み間違えているのではないかと何度も何度も確認したが、結局正しいようだ。あの広大な森はこんな経済活動により維持され続けてきたということだろうか?

さて、今、スウェーデンに住んでいて森で働いてみようと思ったみなさん! ダルスランドの森では1週間の集中研修で植林の方法を習ったあと、9月までの5ヶ月間森で働いてくれる人を募集しています。研修の様子はこちらの動画で。仕事は大変そうだけど、多くの人に(そして社会全体にも)なにか大きな転機をもたらす力を秘めていそうです。

森林産業がコロナウイルスで危機に直面

© Hiromi Blomberg 2023