スウェーデンでは60歳以上の人の離婚が、2000年代に入り倍増しています。
昔とは離婚に対する考え方が変わったことと、人々の寿命が伸び退職後の残りの人生を捉えなおす人が増えたことが、高齢者離婚増加の背景となっているようです。
ストックホルム大学の社会学の研究者トービヨン・ビルトゴードさんは、この統計数字の意味をもっと詳しく知るために、2011年から「灰色離婚」と名付けた、当事者へのインタビューなどの調査を進めています。
ビルドゴードさんによると、高齢の親の離婚に成人した子どもたちが理解を示すところが、スウェーデンと他国との大きな違いだそうです。自分の親、自分の家族のことであっても、離婚は両親である二人の間の話で、大きくなった子供はその選択結果を尊重するそうです。
もうひとつ、インタビューの中で浮かび上がってきたのが相手の健康状態に起因する離婚のケース。
例えば、結婚相手が認知症になったら最初の2,3年は介護しても、認知症が進み施設などに任せてしまう状態になれば、自分自身のこれからの事を考えて離婚するというものです。
私の周りでも似たような事例をききました。
共に70代のその人達は、お互い配偶者と死別した後、デートサイトで出会い、その後はセルボとして付き合っていました。セルボとは結婚もしておらず別々に暮らしているが、家族のような感じで付き合っている人たちのことをいいます。しかし片方が認知症になり病気が進行したことにより、もうひとりの人が別れることを宣言したものです。
このように私の周りの狭い世界でもおきていて、そして今回ニュースにもなったくらいだから、認知症が進んだパートナーから離れる決断をする人は増えてきているのでしょう。
相手はもう自分が誰かもわからないのだから一緒にいても仕方ないので前に進もう、という、きっと苦渋であっただろう決断の背景は私には理解できる。また、人の決断は私がジャッジするものではないですが、あー、ちょっとモヤモヤするこのニュース。
認知症離婚は、これから大きな社会トレンドとなっていくかもしれないですね。