swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

77億円のホビー・プロジェクト スニーカーズアンスタッフ swelog weekend

www.instagram.com

世界が注目するスウェーデン発のスニーカーショップ

世界中のスニーカー狂(”スニーカーヘッズ”)に愛されるスウェーデン発のスニーカーショップ、Sneakersnstuff(スニーカーズアンスタッフ。略称・SNS) 。SNSは今年の秋、アジアで初めてのお店を東京にオープンします。

1999年、ストックホルムで自分たちのスニーカー愛だけをコアのビジネス・アイデアとして始まったSNS。創業者のペーター・ヤンソンとエリック・ファーゲリンドの二人は、現在ではニューヨークやパリ、ロンドンといった世界のファッション都市に6店舗を構えるファッション・ビジネスの成功者。

しかし、7店舗目の東京への出店を間近に控えた今も「趣味の延長ベースの商売」と、彼らのビジネス・スタンスには、実に気負いがありません。

スウェーデンのスニーカー屋さんがなぜ東京までわざわざ? スニーカーなんてどこで買っても一緒じゃないの? と気になって少し調べてみたら、まず、「スニーカー屋さん」という私の捉え方が間違っていました。

最近のスニーカー・ビジネスって、こんなすごいことになっていたのか! という私の驚きと、ファッションの世界で大成功しているスウェーデン人2人の、肩の力の抜けたビジネスの育て方を紹介します。

恐るべしスニーカーヘッズの世界

このブログの読者の中にスニーカーヘッズがいたら、ここはとばして読んでください。私のようにヘッズじゃない普通のスニーカー好きの人たちへ。スニーカーヘッズたちの世界はすごいことになっています!

だた単に、最近どんなシーンでもどの年代の人でもスニーカーの人が多いなーというレベルの話ではありません。希少価値の高いスニーカーの驚愕レベルの転売取引がされていたり、命がけの争奪戦が繰り広げられていたりします。

メンズファッション雑誌のGQのサイトで紹介されているスニーカーヘッズを扱ったドキュメンタリーシリーズの中には、タイトルが「スニーカーのために毎年死者1200人」という恐ろしいエピソードもあります。

gqjapan.jp

SNSが提供して彼らの成功の要因となっているのも、ごく少数のロットで販売される、特別なデザインの超おしゃれなスニーカーたち。ラッフル(抽選)に当たらないと買えないとか、どうしてもこのスニーカーが私はほしいの! のツボにはまることが必須のものたちばかり。

SNSでしか買えないスニーカーや、日本では売り切れてしまったけどSNSではまだ手に入るスニーカーを求めて、SNSの英語のサイトに辿り着く日本人もかなりの数にのぼるようです。

SNSの英語ベースのEコマースサイトでの購入の方法を解説した日本語ブログも、ざっと目についたものだけでも6つほどありました。

日本のスニーカーヘッズたちのスニーカー愛も強すぎる。

gqjapan.jp

スーツケースではじめた商売

さて、ペーターとエリックが出会ったのは1990年代。

お互いの存在は「ストックホルムの北(または南)にすごいヤツがいる」とウワサでは聞いていたそうですが、はじめて会ったのは、とあるスポーツ用品店で一緒に働くようになった時。

二人のスニーカーに関するセンスのよさと情報量に関する評判は高まる一方で、そのうちに2人に信頼をよせる友人や知人のために、ニューヨークまでスニーカーを買い出しにいくことになります。

そこから2年間ほどは、スーツケースに詰めれるだけ詰め込んで持って帰ってきたスニーカーをストックホルムで売る手数料で飛行機のチケット代が捻出できる規模の買い出しを続けた二人。

1999年にお店を構えることにしましたが、その理由も「インネバンディ用の靴を買いに来た客にその靴の説明をするよりも、自分たちが好きなかっこいいスニーカーのことだけをずっと考えていたかった」という、ビジネスプランもなにもない程度のもの。

https://cached-images.bonnier.news/cms30/UploadedImages/2019/6/18/903824cc-8d74-438c-aa9b-e35bd4a80409/bigOriginal.jpg?interpolation=lanczos-none&downsize=2020:*&output-quality=60&output-format=auto

(Photo: DN / Jonas Lindvkist)

でもこの時点ではまだお金はなく、銀行からは融資はえられず、高利の消費者金融からお金を「車を購入するため」などと偽って借り、会社を設立しました。

当初は、客はいない時にはお店でゲームというくらいのゆるさで運営していたにも関わらず、その希少性からか、特に売上やコストのことも考えずに商売できていたエリックとペーター。

しかし、2000年代半ばにはいって「スニーカー」がもっと一般の人にも人気の商品になり、他のスポーツ用品や靴のチェーン店でも同様のスニーカーの扱いが始まると「会社」としての振る舞いや「ビジネス」を考え始めることになります。

スニーカーズアンスタッフの魅力はそのコラボ商品に

SNSは早くから、オリジナルのスニーカーをメーカーやデザイナーとコラボして世にだすことに力を注ぎ、それが彼らの強みとなっています。オシャレなファッション雑誌やウェブサイトでは、常に世界のトップ・ショップとして選ばれるその訳も、これまでに170を超えるオリジナルスニーカーを有名ブランドと作ってきた実績にあります。

昨年2018年の売上は6億6700万クローナ(約77億円)にも及び、対前年比85%増のすごい勢いで伸びているSneakernstuff。

youtu.be

スニーカーヘッズのドキュメンタリーに出てくる、スニーカーというモノをここまで狂ったように買い集め自己表現の手段としている人たちを理解するのは、ワタシ的にはちょっと難しいけど、エリックとペーターの、好きなことをやってきたらなんかおおっきな会社になってたぞ、という話はポジティブで勇気づけられます。

今では社員数が200名以上の会社に育ったスニーカーズアンスタッフ。以前は社員のおばあちゃんの名前まで知っていたのに、最近は顔も名前もよくわからない人が会社にいる、と話すエリック。

東京にお店をオープンしても、その肩の力の抜けた2人がそのままの感じでビジネスを続けられればいいなと思います。

#この記事を書くのにSneakernstuffのサイトをみてたら、すてきなスニーカーいっぱいあって困りますわー。これなんかいいなー(いかん!物欲が😰)

f:id:hiromi_blomberg:20201108041852j:plain

ちなみにオープン予定の東京のショップでは社員を募集しています。ご興味のある方、こちらからぜひどうぞ。

Sneakersnstuff Tokyo - Sneakersnstuff

スニーカーブームでファッション界の権力者となったスウェーデンの二人組

© Hiromi Blomberg 2023