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医療的自殺幇助を法に問うスウェーデンの医師。年老いた自分の使い方

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「私の行いは法に反することなのかどうか、裁判で法に問いたい」

こう語るのは77歳の医師、ステファン・ベリストロームさん。

ベリストローム医師が行ったのは、自ら死を望んでいた難病ALSの男性患者に、致死量の睡眠薬を手配したこと。この男性は7月頭にスイス向かいそこで医療的幇助自殺を予定していたが、新型コロナの影響でこれが実施できなくなっていた。

カロリンスカ研究所の名誉教授で、また「尊厳ある死への権利(Rätten till en värdig död)」会の会長として、安楽死や尊厳死、医療的幇助自殺の領域で積極的に意見を発表していたベリストローム医師は、スイスへ行く道が絶たれた男性の家族から連絡を受け、彼の自殺を幇助することを決心した。

(安楽死や尊厳死、医療的幇助自殺といった言葉やその論点に関しては、こちらの記事が大変参考になった。何でも「安楽死」と呼びすぎる日本 「医療的幇助自殺」、「鎮静」との違いは(大津秀一) - 個人 - Yahoo!ニュース

スウェーデンでは自殺したい人を手助けをすることは罪とはみなされないが、医療行為に携わる者が患者の自殺を幇助すれば医師免許などの資格を失うとされている。だだし、これがこれまでに裁判で判決として出された例はない。

ベリストローム医師は「まず私の行為は犯罪なのかどうか、という点、そしてそうであれば、私は医師免許を失うのかどうか、この2点を法に問いたい」と話している。

彼は、現在医療行為を離れ引退した身で、世間の自分への評価や肩書などを考える必要もなく、自殺幇助は残りの時間で自分で社会にできることを考えた上での行為だと話している。

自殺した男性は2018年にALSと診断された時に「”死”を含めて、最後まで自分で自分のコントロールを保ったまま生きたい」と決心したと報道されており、この火曜日にまだ少しだけ動く片方の手でとったコップの水で睡眠薬を飲み込み、その後まもなく家族やベリストローム医師が同席する中で亡くなった。

詳細は発表されていないものの、この出来事の後でベリストローム医師が取り調べを受け、警察になんらかの届け出がされたことがわかっている。

簡単には結論はでない、難しいこの命の問題。

自分のキャリアを考えなくてもいい、余生(?)だからこそできる行為で、社会に議論を起こし自らが、貢献できることを身を持って体現しているベリストローム医師。年老いた時の自分は社会に対してなにができるのか? そんなことも考え始めずにはいられない、頭が沸騰するこのニュースで、今週はもう金曜日です。

ALS患者の死を医師が幇助