ずいぶん前に日本の報道で「ウーバーイーツ配達員の過酷な労働条件」の話を読み(例えばこちら)、それからはルンドの街でもピンクのユニフォームのFoodoraという同様のサービスの配達の人を見かける度に大変そうだなー、と勝手に思っていた。
日本での報道から遅れること約1年。この週末にやっと(?)スウェーデンでもその過酷な労働条件を暴いた報道がでた。
記事を書いたのはスウェーデン南部の有力地方紙Sydsvenskanの記者ダン・イヴァールソンで、マルメのFoodoraに新聞記者の身分を明かさずに職を得て、4週間の潜入体験を記事にした。
イヴァールソンは当初は配達員へのインタビューを試みようとしたが、誰もがクビになることを恐れて話そうとしなかったので自ら体験して記事を書く流れになったと言う。
今回明らかになった報道では、Foodoraの配達員はアプリでどれだけ早く配達できるかを常に監視されている。労働契約は1ヶ月ごとの更新で、配達の速度パフォーマンスが悪ければ契約は更新されない。
この報道を受けて、Foodoraの担当者は「このような実態は預かり知らぬところで深くお詫びする。マルメ地区で労働環境がどうなっているのか、実態調査に取り掛かる」と話した。マルメには今数千人の配達員登録者がいる。
この記事は街でも大きな反響を呼んだ。多くの人は、配達員はもっとよい給与や労働条件で働くべきと考えている。
こんなサービスの利用はすぐに辞めるべき。サービスの利用者は恥をしれ、と強い調子でツイッターに投稿したのは、マルメを本拠地に活躍するドキュメンタリー映画監督フレドリック・ゲルテン。彼はこれまでに巨大なビジネス資本に搾取される普通の人々に焦点をあてた作品をいくつも発表してきている。(例えばこちら)
Om nån i min bekantskapskrets in orkar gå ner och bära hem sin egen hämtmat, lösgodis, chips: jag hjälper dig. Om du fortsätter använda Foodora, Uber Eats mfl efter @danivarsson reportage i Sydsvenskan far åt helvete jävla exploatör.https://t.co/7n1uX9ksbK
— Fredrik Gertten (@FredrikGertten) October 18, 2020
さて、ちょっと検索してみたところ、日本で自転車配達員の労働条件が話題になったのは、上記のリンク先にもある一年程前のウーバーイーツユニオン結成時の時くらいで、最近は配達員の交通マナーに関する記事が多いようだ。交通マナーを違反するほど、今も時間に追われる配達員の労働環境は変わってないのではないだろうか?
スウェーデン人の13歳の甥っ子を日本に連れて行った時、京都駅から五条のホテルまで乗ったタクシーの料金の安さに驚き、ごく普通の13歳である彼が「この人はこんな料金でちゃんと生活していくことができるのか」と言ったことをまた思い出した。これがスウェーデンの教育の底力か! と思ったものです!