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これからの世界地図、日本はどこにいる?

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アメリカの大統領選挙でジョー・バイデンの勝利が確実視され、スウェーデンの公共放送SVTが最初に持ってきたのは、経済問題でも軍事問題でもなく気候変動問題への影響を解説した記事だった。

これはアメリカの大統領選だったが、その結果次第ではケニアの農民やベトナムの漁師やまたスウェーデンのスコーネ地方の海岸性に決定的な影響を与える世界的な分岐点だった、と気候問題記者のエリカ・ベェストロームは指摘する。

トランプが脱退したパリ協定に再度アメリカが加入するには30日しかかからないし、彼が廃止しょうとしていた100に及ぶ環境法のうちで結局法的効力を持ち廃止されたものはほんの僅かだった。トランプのあからさまな肩入れにも関わらず、アメリカの石炭産業はこの4年間で44%縮小した。

さらには国政レベルでの変化を待たずして、アメリカの企業や地方行政レベルでの再生可能性エネルギーへの移行はものすごい勢いで進んでいた。

今、世界の三大経済圏である中国、アメリカ、そしてEUでは化石燃料の段階的な廃止方法について測定可能な目標を持っている。ロシアでさえ化石燃料への依存を減らしていく具体的な方法を発表している。

世界の気候変動への取り組みにおいてエポックメイキングな出来事だったとまとめるこの記事に、世界三位の経済大国でありながら箸にも棒にもかからず、まったく話題にも上がっていない国はどこなのか。

太陽光発電と風力発電で既に石炭よりも多くの発電量を供給しているアメリカが2050年までのカーボン・ニュートラルへの行動計画を具体的に示す頃までに、日本はなにができるのか?

ここで国として何を目指すのかを具体的に示すことができるかできないかで、これからの世界の中での日本の立ち位置が決定的に決まってしまうように思う。

もう「経済」にとらわれていてはだめだし、逆に「気候問題への取り組みこそが経済だ」と、そんな地平線が日本の賢明な政治家の方々にもみえているといいなと節に思う。いやハンコや携帯電話料金の改革も必要でしょうが、原発には頼らない大きな展望を私たちはみたい。

解説「バイデンの勝利は世界規模の気候問題取り組みに決定的な影響を持つ」

© Hiromi Blomberg 2023