長い間スウェーデンのストックホルム、ヨーテボリやマルメといった都市区で、フリーペーパーのMetro(メトロ)は街の風景の一部だった。通勤の際には誰でも手に取る存在だった頃もはるか彼方。広告費がスマホ、デジタルへと移っていったことによる収入減の痛手は大きすぎた。
これまでも大量に記者を削減するなど、なんとか生き残り策を図ってきたが、既に何度か報道された従業員への給与未払いのニュースに加えて、今回は法人税を払っていないことも明るみに。税務庁から連絡を受けた国家執行機関がメトロの銀行口座の差し押さえに入ったそうだ。
さらには昨夜、提携印刷所が今朝のメトロの印刷を見合わせると発表した。今後の発行がすべて中止になったわけではなく、この決定は毎日様子をみて一日ずつ行われるというニュアンスだが、残念だがメトロはもう生き残れないだろう。
主に通信社が配信する国内外のニュースを簡単に無料で伝えていたメトロと違って、同じフリーペーパーでも、超地元密着で地元のニュースに地元のお店やサービスの広告をたくさん掲載したものは、まだ現在も大丈夫そうである。
1995年に初めてストックホルムで発行され、一時は世界各地でも読めたメトロ。
ルンドでも街中にたくさん配置されているメトロの配布ボックスも今朝は空。こうして街の景色は変わっていく。