NATO加盟の件で。トルコはフィンランドはOKだけどスウェーデンはダメだ、といったそうで、これ、私と同じように先週の金曜日のスウェーデン公共放送のニュース風刺お笑い番組を観ていた人はやっぱりな! と思ったはずだ。
その一週間に起きた出来事を鋭い(時には鋭すぎる)ユーモアでめった切りにしていくこの番組、以前も中国をおちょくり過ぎてちょっとした外交問題になっていたが、今回はこの政治情勢がややこしいこの時期に、思いっきりエルドアンをおちょくった番組をつくり、案の定トルコにいるスウェーデン大使が呼び出しをくらっていた。
よりによって公共放送がクルド人のコメディアンがエルドアンを馬鹿にする番組を作って放送するとはなにごとか、というのがトルコからの抗議。エルドアンやトルコへの無礼でひどい内容を受け入れることはできないと伝えられたという。
私の中には、触らぬ神に祟りなしという言葉が芯まで浸透しているのか、わざわざ人を怒らせるようなことをしなくても、と、こういう騒ぎをみるたびにとずっと思ってきたのだが、自分が思ったことを自由に表現できるということをこの国では本当に大切にしているのだな、と納得せざるを得ない。
なにしろ、国の憲法を構成する4つの基本法のうち、ひとつが表現の自由を規定したもので、もうひとつがそれを報道する自由を規定したものであるのがスウェーデンだ。そう言えばこの問題で象徴的な役割を果たしていたラーシュ・ヴィルクスが事故死して1年になる。
今回の軒では、案の定リンデ外相も「スウェーデンには表現と報道の自由があります」と記者会見で説明を行し、呼び出されたスウェーデンのトルコ大使も同じような発言をしている。そして私の方もも、こんな時代だからこそ風刺で、暗い状況を笑い飛ばせるのはとってもいいよな、と、一緒にゲラゲラ笑って、すっきりした気持ちになったりしている。
この『Svenska Nyheter(スウェーデンのニュース)』、今日も夜10時から放送されるのが楽しみでしょうがない。