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開発の進む男性が肩に塗る避妊用ジェルは市販化されるのか

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かねてより開発が進められてきた、男性が透明のジェルを肩と上腕に塗ることで精子の量を減らす避妊法、人呼んで「Pジェル」(PはPreventivmedel 避妊薬から)。

これまで2年間で、世界から420組のカップルがPジェルの臨床実験に参加したが、スウェーデンからは50組もがこの研究に参加していた。

男性が毎日肩と上腕に塗るだけという簡単な使い方のPジェルには、精子の生成を抑える2種類のホルモン(NestroroneとTestostern)が配合されている。男性は精力や性欲を維持したままで使うことができ、女性向けのピルに比べると副作用はとても低い。その効果の方も、スウェーデンでの実験では1年使って妊娠したカップルは一組もいなかった、という結果になった。

この大規模な国際的な研究を、スウェーデンで取りまとめているのは、カロリンスカ研究所の産婦人科クリスティーナ・ジェムゼル・ダニエルソン教授。彼女は「Pジェルの安全性や副作用についてはすでに研究が終わっており、今は本当に避妊の効果があるかどうかをみている段階」だという。

しかし、利用者からの高い関心と順調な臨床実験の結果にも関わらず、Pジェルがいつ市販化されるかは不明だ。

臨床実験は製薬会社が市販化を目指して行っているものではなく、アメリカの国立衛生研究所(NIH)が資金を提供している。90年代から男性向け避妊薬の研究を続けているジェムゼル・ダニエルソンは、製薬会社からの関心がとても低いことを嘆くが、実験への参加者を募った時にはとても大きな関心が寄せられて嬉しい驚きだったと話す。

避妊法は女性の負担になることが多く、また避妊できなかった場合、そのダイレクトな影響を受けるのも女性だ。女性によく使われているピルは副作用に悩まされる人も多く、また飲み忘れによる効果減少も心配の種だが、Pジェルは一日塗り忘れたくらいでは、効果への影響はそれほどないそうだ。またPジェルはやめて3,4ヶ月するとそれまでの効果が消滅する。

60年ほど前にピルができてから、これといった新しい避妊薬は開発されていない状況で、また男性が使う避妊法自体これまではコンドームとパイプカットくらいしかなかった。

シングルの女性が出会ったばかりの男性からPジェルを使っているから大丈夫と言われてもその言葉をそのまま信じることは難しいだろうが、すでにカップルの人が避妊したい場合にはPジェルは絶大な効果を発揮しそうだ。

製薬会社は消極的ということだが、今はクラウドファンディングなどでも行動を起こせる時代。もしかしたらこの先5年から7年位で市販化、と考えられているよりもずっと早く製品化されるかもしれない。

臨床実験に参加したヨーナスさんとカールさんがその使い心地についてインタビューに答えている動画があったので、スウェーデン語ですが下記にリンクで紹介しておきます。感想は「冗談みたいに簡単」で、あと、副作用についても筋肉や性欲が増えたとかで、それほど気にするレベルではなかったということでした。

Här smörjer Jonas in sig med preventivmedel för män | SVT Nyheter

男性が使うPジェルは5年以内に市販化されるかも

© Hiromi Blomberg 2021