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放送事故の普通と危機

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放送事故は普通に起こる

電車は遅れ、テレビでは放送事故があり、銀行ATMは使えない。

日本では止まることなどを想定していないで使っていた生活に身近なサービスは、スウェーデンに来てみると、結構普通に障害が起こることがわかった。

不慮の事態はもちろんどこでもいつでも起こることだし、当たり前といえば当たり前。

もっと驚いたのはスウェーデン人の態度で、電車が遅れても大概の人はまぁ、そういうこともあるさと文句も言わず待っている。確かに大声を出したからといって事態は改善されず、誠に申し訳ありませんと謝ってくれる現場の人や責任者が出てくるわけでもない。

こういう国で長らく暮らしていると、先日、日本のソフトバンクでのエリクソン社製の機器のソフトウェアが原因で起こった大規模の通信障害も、あっても不思議ではないと納得する。

一日に大きな放送事故が2度起こる

昨日のスウェーデン公共放送SVTでは、朝と夜のプライムタイムのニュース番組で大きな放送事故が2度起きた。朝の番組では通常のスタジオからの放映が不可能となり、急遽スタジオを変更。夜9時のニュースでは14分、放映が遅れた。

朝のニュースは床に置かれたコードが、入れるべきではないスイッチを入れてしまっていたという人為的なミス。夜の番組は同日午後に行なった放送機材のソフトウェア・アップデートに起因する障害だったと技術責任者がお詫びのコメントを出している。

こんなことで国家の危機に対応できるのか?

技術的な事故が起こっても回復をのんびり待てるスウェーデン人でも、現在の不穏な世界情勢では心配なのは、有事を想定した場合、公共放送がこんなゆるい運営で大丈夫なのか?という点だ。

先の技術責任者によると、SVTは一応(?)予備の放送システムも持っていて、メインが使えないときにはすぐにそちらに切り替えることで緊急放送が流せるようになっているらしい。

ただ、予備のシステムでは画質の劣化など、いかにも緊急事態が起こったかのような放送になり視聴者を不安にさせるといった影響も考えられたため、昨日の夜のニュース番組では使われなかったらしい。

大きな社会的インフラが止まったとき、テロやサイバー攻撃のことはまったく考える必要がなく「あー、またかい、もう」って小さく怒っているだけでよかった少し前の時代が懐かしい。

 

朝と夜のニュース番組で放送事故が起こった理由 (SVT Nyheter)

© Hiromi Blomberg 2023