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スウェーデンで増える「窮屈な家」

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スウェーデンの、特にストックホルムなどの都会では4世帯に1つは「窮屈な家」に住んでいる。

寝室を共にするカップルを除けば、家族のひとりひとりに自室があり、それに加えてみんなで使うリビングルームとキッチン。この基準を満たさない住居はスウェーデンでは長い間「窮屈な家」だった。

基準は労働移民が急激に増えた70年代、100万人プログラムと呼ばれた全国の団地建設政策でのスタンダードとして策定され、その後も各種の住宅政策や住宅手当など福祉政策の基準としても使われ続けてきた。

それが昨今では、通勤などの利便性を考慮して、郊外の広めの家よりも都心の小さめな集合住宅に好んで住む家族も多い。

またこれまで窮屈な圧迫された住環境で育った子供は、不健康になり学習にも支障をきたすと考えれてきたが、国家監査局がこの度発表した調査結果では、そのような悪影響も見られなかった。

これらを受けて、この先スウェーデンの「窮屈な家」の定義は変わって行きそうだ。

一方でひとつの寝室を3人以上で使う「ひどく窮屈な住環境」で暮らす家庭も過去20年間で2.5%から5%に増えている。にもかかわらず、現在は公的にはこのグルーブを抽出する定義がなく、政治的な対応ができていない状況でもある。

スウェーデンに来てすぐに知り合った日本人の研究者一家は、当時1才から小学生のお子さんが3人いて「うちはダブルベット2つ並べて5人で川の字で寝るんだけど、そう説明するとスウェーデン人がものすごくびっくりするのでオモシロイ」って笑っていましたね。

3人の子供たちは窮屈な家で育った悪影響もなく(!)、今、みんな健康で立派にやっています!

狭い家だからといって不健康にはならないが、スウェーデンの基準は時代にあっていない

© Hiromi Blomberg 2023