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「第三波をTsunamiにしないために」

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と、昨日夜のニュース番組で発言したのは野党・中央党党首のアニー・ローヴ。

クリスマス前後からのコロナの第二波が収まりきらないうちに再度感染拡大の兆しをみせている今の状況をコントロールするために、2、3週間をめどにショッピングセンターやレストラン、ジムなどを営業停止とする強い施策を政府に求める中で使われた表現だ。

2004年のスマトラ沖地震ではクリスマス休暇で地域を訪れていた1万2千人のスウェーデン人のうち550もの人命が失われ、約1500名が負傷した。Tsunamiはスウェーデンではよく知られた言葉だが、こういう文脈でこの言葉を使用する日本人はいないだろうなと、軽く驚いた。

ローヴ党首と、さらには彼女を意見をともにするウイルス学の教授フレドリック・エリから提案された「短期間、社会の機能を閉じることにより感染の広がりをコントロールする」という方法に、公衆衛生庁のアンデシュ・テグネルは否定的な返事をした。

まずロックダウンにより(感染コントロール以外の領域で)負の影響がでる恐れがあるし、そもそもスウェーデンは強固なロックダウンを実施できないとテグネルは言う。彼はさらに、2、3週間という短期間ロックダウンすることの、その効果自体を疑う。ワクチン接種は始まったが、社会になんらかの効果が出てくるのは6、7月になるだろう、との見方だ。

テグネルは、何か対策をとる前には「効果は最大限に、悪影響は最小限になる方法をとても慎重に考える必要がある」と話す。しかし、これまでのスウェーデンのやり方で、例えば小学校が閉鎖されることがなかったことなどで、抑えられている悪影響は多々あるのだろうが、こちらは感染者数や死者数などのようにはっきりとした形ではいまのところ捉えることができない。

根拠はないのにやった気になる強い態度はわかりやすくてウケやすいが、その実、危険。テグネルの言っていることは正しいのだろうが、わかりにくくてウケにくい。残念。

テグネル「とても慎重に考えるべきだ」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023