スウェーデンのコロナ対策の指揮をとったアンデシュ・テグネルの仕事の総括と、それに対する大方のスウェーデン人が感じていることは、今年の3月に取り上げた下の記事によくまとまっていると思うのだけれど、近く、テグネルによる回想録が出版されるそうで、彼の新しいインタビュー記事がでていた。
この本でテグネルは、パンデミック対策におけるコミュニケーションの重要性、規制を厳しくしてほしい人たちからも、もっと緩和してほしい人たちからも受け続けた激しい批判、スウェーデンの高齢者施設がパンデミックへの対応では脆弱であることがわかったにも関わらずその後も大した対策が取られていないことに対する失望、そして国境閉鎖や市民の行動閉鎖は益よりも害をもたらすというコンセンサスが疫学者の間であったにも関わらず、そのような決定が世界中でいかに政治的に決定されていったかという彼自身の驚きなどについて書いているそうだ。
スウェーデンは結局、他の北欧諸国とともにヨーロッパで最も死亡率の低い国のひとつであり、アンダース・テグネルとスウェーデン公衆衛生庁が採用した戦略 - 高い自発性と、距離を保ち接触回数を減らすことに重点を置いた - は、大局的にはうまくいった、というのは私もよく理解していたけど、今回のインタビューに合わせて記事が改めて取り上げていたのは、学校閉鎖などがなかったことでスウェーデンでは若者への大した影響がなかったということだった。
フィンランドでテグネルと同様の立場にいたミカ・サルミネンさんは、北欧諸国で取られた措置は結果的には全体で大きな相違はなく、他のヨーロッパ諸国と比べた時に概ねうまくいったが、フィンランドでは特にいくつかの地域で大規模な学校閉鎖があり、大学、カレッジ、専門学校は2年以上にわたってリモート指導のために閉鎖され、これはおそらく若者の成長と精神的健康の両面に大きな影響を与えただろうと話している。このことが将来的に、福祉の面でも経済的な面でもツケとなって帰ってくるだろうとも。
スウェーデンの子どもたちを見ている私には、この視点はまったく欠けていたのだけれど、最近立て続けに読んだ、アメリカのZ世代に関する竹田ダニエルさんの一連の著作で、この世代がコロナによって受けた影響の大きさに改めて気づいたところだったので、このサルミネンさんのコメントには大きく頷いた。
Z世代とコロナに関する竹田ダニエルさんのコラムはこちらでも読めるので、よければぜひ。