「個人情報に関わることなので、政府主催の花見の会への招待客情報は削除した」そんなあきれた政府の物言いが、透明性を重んじてきたスウェーデンでも近い将来現実のものになる?
まさかそんなことはないとは思うが、スウェーデンでも昨年EUで導入されたGDPR(ヨーロッパ一般データ保護規則)の影響により「社会の透明性」が曇りつつあるのは本当のようだ。
GDPRに配慮して小学校がこれまでの伝統的なクラス写真の撮影を止めた話はこのブログでも一度取り上げた。
そして今行政や学校といった公的機関は必要以上に個人情報の取り扱いに敏感になっているようだと、ソーデルトーン大学のメディア研究者でForesシンクタンク研究員でもあるヨーナス・アンダーション・シュワルツさんが指摘している。
学校なので生徒が写っている写真をパブリックやSNSで使用する場合は、ともかく顔をぼやかしたり、上に絵文字を載せたりと個人の特定ができるものをなくしてしまうケースが目立っている。一度ネット上にあがったものはGAFAなどの顔認識ソフトにもれなく認識、分類、登録されてしまうので、とても慎重になるのも無理はない。(GAFAってなに? っていう人はぜひこちらの記事をお読みください)
しかしシュワルツさんも指摘しているように、この状況に拍車がかかりすぎると、これまでは「透明性のある情報開示原則」にそって運営されているこの国の土台がゆるぐような事態にもなりかねない。
市民が望めば、もれなく公開されていたような公的な記録も「個人情報への配慮」のため、公開されないようなケースが増えてしまうかもしれない。
透明性を失くしたスウェーデンなんて、スウェーデンではないような気がするので、今は何でもNGの方向へ振れている個人情報取り扱い軸が、そのうちにほどほどのバランスに戻ってくることを待ちたい。