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ネットショップで買った洋服の返品が引き起こす悪影響

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スウェーデンではオープン・ショッピングといって一度購入したものを、破損などの理由がなくても返品できる。

お店によって返品できる期間は違うが、洋服もすごいバーゲンセールでもない限り返品可能。今ちょっと調べてみたら、H&Mではネットショップで買ったものは30日以内、小売大手のÅhlensでは60日以内は返品可能だった。

スウェーデンの消費者はオープン・ショッピングを、ネットショッピングがここまで人気になるずっと以前から活用していて、私の知り合いにも家でゆっくり試着したいからととりあえず気に入りそうなものを何着か購入して、家で試してしっくりこなかったものは返品するという買い物の仕方をしている人は結構いた。

このオープン・ショッピングの気軽さはネットショッピングの時代になっても変わらず、今ネットで購入される洋服の22%、実に5枚に1枚は返品される運命にあるらしい。ネットでの気軽さもあり、消費者はサイズや色違いなど多めに注文し、いらないものはさっさと返品する。

しかし、その後送り返された洋服のたどる道は私達消費者が考えるほどシンプルなものではない、とヨーテボリ大学で産業の経済効率とロジスティックを研究するマイケル・ブロウネさんが警鐘を鳴らしている。

彼がこの度まとめたレポートによると、スウェーデンのネット販売で返品された洋服の多くは、単純に購入したお店の配送センターに送り返されて、またすぐ次の購入者を待つのではなく、次に販売されるまでには時には地球をめぐる旅にでることもあるそうだ。

スウェーデンの消費者から返品された洋服は販売代理店に送られ、そこからポーランドや時にはアジアの下請け業者に送られて、そこで検品と再包装を施され、またスウェーデンの販売代理店に戻ってくるという流れもよくあるのだとか。そのロジスティック上の無駄、環境への悪影響は明らかだ。

ブロウネさんは、消費者による返品を減らすために、販売する企業は洋服の色や素材、形やサイズに関する情報をサイト上でもっとわかりやすく記載するべきだと話しているが、この返品にまつわるおかしな無駄に関する情報をもっと大々的に報道することで返品を減らすこともスウェーデンではできるのではないだろうか? 「大量に返品するような買い物をすることは恥ですよ」というようなトレンドにそのうちになるといいな。

ネットで買われた洋服の5枚に一枚は返品される

© Hiromi Blomberg 2023