スウェーデンのクロノフォグデン(Kronofogden・国家執行機関)への、いわゆる「自己破産」申請が若者の間で激増している。
(クロノフォグデンって何? とい方はこちらの記事もどうぞ。ビック・ブラザーな「王様の執行官」ー 行政アウトソースで粗利を稼ぐ債権回収業者、より)
今年の1月から5月の間に、自己の借金を「予測可能な将来に返済の見込みがない」ものとしていわゆる自己破産申請を行った人は、その前年である2019年の同時期と比較して40%増加した。中でも34歳以下の若い成人の間で増加が顕著だが、この若者たちからの申請の多くは却下される。
申請者数が増えている Källa: Kronofogden. Grafik: Helena Shutrick.
クロノフォグデンではこの若者の間での劇的な変化は、コロナ禍というよりは、最近導入された自己破産のオンライン申請システムによる影響によるものだと見ている。
オンライン申請は、手続きを容易にすることでこれまで申請の敷居が高かった人たちをよりタイムリーに救済することを狙ったものだが、それが若い人たちに手軽に使われてしまう要因になってしまったようだ、とクロノフォグデンの担当者はコメントしている。
「予想可能な将来」とは8年から15年先を指すが、自己破産申請する若者が申請してくる借金額の多くは、2万5000〜3万クローナ程度(約30万円から37万円程度)と返済が可能であろうとみなせる額だ。
一方で、若者たちが自分では返済できないと考える額の借金をしてしまう点には問題がありそうだ。
クロノフォグデンの担当者はまた、若者たちが自己破産とはなにかとよく理解していないこと(ただの借金がチャラになるシステムではなく、多くの義務が発生する)、また学校でも「個人の経済」に関する教育をしっかり受けておらず、家庭でもお金について話し合っていない状況は改善していく必要があるとコメントしている。
この担当者は2、30万円程度の借金なら、クロノフォグデンにに自己破産申請する前に、まず家族など近い周囲の人に助けを求めるべきであろうと話しているが、私もみんなその勇気がでるといいなと思う。
クロノフォグデンでは、この簡単になりすぎてしまった自己破産申請が本当は何を意味するかをもっと正しく伝えていく努力をする、としているが、今後はコロナ禍の影響で経済的に厳しい状況に陥る若者がますます増えるかもしれない。みんな勇気を振り絞って周囲の人とお金の窮状に関して話せるようになるといいな、と思う。助けようとしてくれる人はきっとみんなの近くにいると思います。