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世界のロールモデルを目指す「中部スウェーデン・ハイドロジェン・ヴァレー」

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一昨日は氷河が融解していく北極圏周辺で新規採掘を行うために、国営石油企業にノルウェー政府が補助金を出している話に触れたが、今日はスウェーデンのエネルギー庁から支援を受けている「ミッドスウェーデン・ハイドロジェン・ヴァレー」の話を。

スウェーデンの北極圏近くのルレオの近辺で、新規の鉄鋼やバッテリー工場で大量採用が始まっているが雇用が追いついていないという話をしばらく前に取り上げた。今日のニュースはストックホルムからそれほど遠くない中部スウェーデンのイェブレボリ地方の、水からつくる水素ガスを使った製鉄事業への大型投資を扱っている。

(北極圏近くの大型案件の話はこちら)

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現在Hoforsコミューンで進められているのも、クリーンなエネルギーから作った電気で水を水素と酸素ガスに変換し、その水素ガスを鉄鉱石の製鉄用の還元作業に使うというプロジェクト。これがどれほど画期的な技術で、スウェーデンやさらには世界の二酸化炭素排出量にインパクトを与える可能性を秘めたものかは、こちらの日経新聞の記事に詳しい。

スウェーデン、製鉄革命でCO2ゼロ挑む: 日本経済新聞

Hoforsのプロジェクトはスウェーデンで一番大きな水素ガス設備を持つ予定とSVTの記事には書かれており、ボルボグループ、日立ABBパワーグリッド、H2グリーンスチール、Nelハイドロゲンと共同で、Ovako社が立ち上げる。

上でリンクを紹介した極北のプロジェクトが本格導入するのはまだまだ先のようだが、こちらのOvakoは2022年末までには本格稼働用の工場を完成させたいと話している。

Hoforsでは、これ以外には大型車両向けの燃料ガス・ステーションも建設される予定だとか。(下記のブログ記事は2019年のニュースで同じく中部スウェーデンでの燃料ステーションプロジェクトを扱っている)

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Ovakoってなんだかフィンランド語みたい? と思って調べてみたら、スウェーデンの会社だったが、2019年に山陽特殊製鋼が買収して、今は新日鉄のグループ会社であるようだ。日本とスウェーデンがこんなところで手を組んでいるのはなんだか、とても嬉しいじゃないですか、と思ったが、ちょっと考えると私が会社員として働いているルンドの会社の親会社も日本の会社だったわ😅

Hoforsの水素ガスの新規注力で「世界の手本に」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023