ちょっと考えると、まぁ、そういうことだろうなとは理解するけれど、ここまで赤裸々な統計はこれまで見たことがなかったような気もする。
金持ちで高い学歴を持つ人は健康的な暮らしを送って長生きし、貧乏人はいろんな病気にかかって早く死ぬ。
これはダーゲンス・ニュヘテルが、ストックホルム郊外の対象的な2つの街、富裕層が多く住む街ダンデリュッドと、このあたりで最も平均所得が低く外国人の割合が高いボットシュルカに住む人の間の健康、寿命格差を比較した記事で確認できる。
ボットシュルカは広域ストックホルム圏で男性の平均寿命が最も短い自治体で、ダンデリュッドの男性とのその差は4年。またダンデリュッドと比較して腰痛に悩まされている人は3倍いるし、心臓発作に襲われた人もダンデリュッドに比べて40%多い。
スウェーデンに住む私たちの体調や平均寿命は、どこに住み、どの社会経済的グループにに属しているかに密接に関係している。また、高学歴の人はそうでない人に比べて、自分の健康状態を良好と評価する人の割合が高く、運動量も多く、肥満も少ない。心血管疾患で死ぬ確率は低学歴の人に比べて8分の1にとどまり、平均して6年程度長生きする、と記事は伝える。
学歴間の健康格差は広がる一方で、高学歴の人の寿命は15年前と比べて2歳以上伸びているのに対して、低学歴、特に低学歴の女性の間ではその伸びは非常に小さいものになっている。外国籍のシングルマザーとなるとより一層厳しい状態に置かれている。
健康的な生活ということで言えば、ダンデリュッドの人たちは座ってばかりのオフィスワークに従事することが多いが、多くの人は自由裁量性の高い職種についており、またヨガやランニング、テニス、ウォーキングなどの活動を優先した暮らしを送っているのに比べて、ボットシュルカの人たちは反復的な動きを繰り返す職業につき、消耗型のケガに悩まされることが多い。
また移民の多い地区に住む人たちは病院に行くことを敬遠し、痛みやケガがあってもそのままにしておく人が多い。些細なことでもすぐに病院にいったり休んだりする「スウェーデン人」たちとは対象的だ。
このような差はまた、ボットシュルカに住む女性の3分の1がマンモグラフィを受けていなかったり、子宮頸がん検診を受ける人の率が低いというところにも現れている。ここまでくると、文化的な要因が高いと思えてくる。
こういう数字がまとめられると、それではこの層にはこういう内容をこういうやり方で伝えていきましょう、という風に話が進み、対策が考えられていくのかもしれないけれど、この健康格差の根本になっている経済格差は、この先もますます広がっていきそうなのがこの記事を読んでててちょっと辛いところだな。