スウェーデンでは「総力防衛」という考え方のもとに、市民が防衛活動に参加することが義務付けられていることを書いた。
その中で、民生義務(Civilplikt)というのは、制度としてはあったが、2010年からは必要がないとみなされ活用されていなかった。
そして今は具体的な活動は行われていないが、定義としてあるのが「民生義務(Civilplikt)」で、こちらは爆薬処理や消防活動などできる人が、事態に備えてその能力を訓練しておく、というもの。
今朝のニュースでは、今回スウェーデン社会防衛対策庁(MSB)がこの民生義務制度の活用を再開するように政府に要請したことが伝えられている。
この記事によると、民生義務の適応範囲は上であげたものより、もっと広いようで「16歳から65歳までのスウェーデンの国民は、社会的に重要な活動で戦争に派遣されることがあり、それは救助活動や医療、保育といったものである」と説明されている。特別な教育を受けて技能を持っているが、現在その部門で働いていない人にも活動につしてもらうことができる制度のようだ。
それにしても気になるのが「総力防衛」について書いている記事で、各種義務の対象となる人が「スウェーデン国民」なのか「スウェーデン住民」なのか、その表記の揺れなのだが、今日の民生義務に関する記事では「国民(Medborgare)」と書かれている。
この間読んだ、アフトンブラーデットの「スウェーデンで戦争が起きた時にあなたに期待されていること」という記事では、「総力防衛の義務は危機的状況において、誰もが社会に貢献する義務があることを意味し、スウェーデン国民、またはスウェーデンに居住する16歳から70歳までのすべての人に適応されます」と書かれている。
もしかすると兵役義務と民生義務は国民への義務で、一般労働義務はそれ以外の住民をも含めたスウェーデンに住むすべての人への義務ということかもしれないが、こちらの記事には「総力防衛の義務がある場合、海外に逃れるなどして、その義務を回避することは出来ません……。総力防衛の責任を逃れようとしたり、果たさなかった場合、1年以下の罰金または禁固刑となりますが、違反が重大だとみなされた場合は、より長い禁固刑が課せられる可能性もあります」とも説明されている。
いや、スウェーデンに来たらたくさん税金払うんだよ、ということは知っていましたが、こんな義務もあったとは。引越してくる時にだれも説明してくれなかったんだけど。でも、きっとスウェーデンで生まれた人たちも生まれた時に説明してもらってないのは、一緒かな?