直接の知り合いではないのだけれど、その存在を知る人が実刑を受け、マルメの刑務所で2ヶ月間服役中だ。
私もよく知るルンドのIT企業で以前は働いていたポンテュスさんが刑務所に入ることになったその理由は、気候変動のためのプロテスト。ポンテュスさんはスウェーデンで実刑判決を受けた最初の気候変動アクティビストである。
数年前にIT企業の仕事をやめ、エクスティンクション・リベリオンで、フルタイムの気候変動アクティビストとなったポンテュスさんは、空港の滑走路に入るなど、何度も法律を破る行動を行っているが、自分を犯罪者とは思っていない。
「自分は絶対的な必要性から行っている。国はこの緊急事態に適切に対応していると言うが、私はそうは思っていない。だから、国との間で論争が起き私はいまここで服役しているのだろう」と言うポンテュスさんは、SVTの記者から何が合法で何が非合法化を自分で決めれるようになるべきだろうか?と聞かれると、「そうは思わない。このようなプロテストの活動(市民的不服従)には一定のルールがある」と説明する。
例えば、自分の利益のためには何もしてはいけないし、刑罰を受ける覚悟があり、そして行動は平和的でなければいけないなどだ。だれかに喧嘩を売ったり、恥を欠かせたりするようなものであってもいけないが、市民的不服従はこの緊急事態に注意を喚起するために行うのであり、変化を起こすために必要だという。
迷惑をかけてもいいのか、という問いには、例えば柵を乗り越えて空港の滑走路に入る前には自ら警察に電話をかけて、行動を行うことを伝え、また空港にも事前に問い合わせをして、侵入したときには空港に最後の飛行機が入ってきた段階で、だれかに直接の迷惑や危険を及ぼすこともないと確認していたと話す。
ポンテュスさんは今回の服役でも考えはまったく変わっておらず、刑期が終わったらまた法に接触するような活動に戻るつもりだ。彼が再犯しないためには、政治家たちがこの問題に真剣に取り組み、パリ合意に基づいた大きな変革を起こすことが必要だ。
もう何をどうやっても間に合わない、世界は奈落に落ちていくと諦めたような感覚で毎日を送っている私のような人間とは違い、ポンテュスさんはきっと自分のやるべきことをやりきったという感覚で一生を終えるに違いない。
それにしても、彼へのインタビューはごく普通な感じだったのでテレビで見たときには気が付かなかったけど、改めて記事で読むと、これは刑務所の中で撮影されたものだった。日本で服役している人がテレビのインタビューで普通に話しているとか、見たことがないような気がするのだけど。