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スウェーデンのパンの廃棄問題を解説します

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ボロース大学とスウェーデン農科大学の研究レポートによると、スウェーデンでは毎日219トンのパンが廃棄されています。そしてこの廃棄量はパン製造会社と大手スーパーチェーンの契約を変更することで削減が可能、と調査を行った研究者たちは見ています。一体、どういうことなのでしょうか?

調査によると現在スウェーデンでは、店で販売されるパンの15%が廃棄されており、これが年間8万トンに及びます。毎日日夜を問わず、1時間に26万切れのパンが廃棄され続けている計算です。

スウェーデン自然保護協会によると、スウェーデンの食品廃棄は年間130万トン、1日あたり、3,561トンでそのほとんどが家庭で購入後捨てられているものです。

しかし、パンだけは販売される前にも廃棄の道をたどる。これは現在小売とパン製造業者でかわされている契約形態のユニークさによります。

スウェーデンのパン市場の40%を占める最大手Pågan他、現在主流となってる契約形態では、店頭に並んでいるパンはパン製造会社の管轄で、賞味期限が近づいたものは引き取って同時に新しいものを並べる、というシステムになっています。小売側は、パンに関しては発注数を自ら決めたり、期限がきれそうになったパンを値引きして売ったりすることはできないが、パンは売れた分だけを仕入れた形になります。

この仕組で、消費者は常に新しいパンを買うことができるわけですが、その裏では店頭に並べられただけで送り返されて廃棄処分になるパンが、1日219トンに及ぶというわけです。

パン製造会社がひきとったパンは酵母、エタノールへと姿を変えたり、家畜の飼料として使われたり、地域暖房用に燃やされたりするそうですが、一度食べ物の形にしたものが消費者に届かないまま捨てられていく。

パン市場2番手のFazerはこの業界の慣習を変更を試みており、今回スーパーチェーンのLidlとは他の食品と同じような買取システムへと移行することができました。

Påganは現行のパンの入れ替えシステムの方が、パンの廃棄量は少なくなるという見方で、今のところ契約を変更する意向はありませんが、こうしてパン廃棄の現状が明らかになった以上、Fazerの動きをはじめ、もっと変化がおこるのは間違いないでしょう。

まぁ、私達は、賞味期限にこだわらずパンを買うことを習慣にしていけばいいようです。私がスウェーデンに引っ越してきた20年近く前は、スーパーでは空になっている棚があるのが当たり前でした。今も日曜日の夕方などにいくと、売り切れになっているものが目立つけれど、以前に比べると食べ物で溢れている感が高いですね。また売れ切れで棚が空になっている状況をみんなが当たり前を思うようになればいいなぁ、と思います。

最新レポート・毎年8万トンのパンが廃棄されている

© Hiromi Blomberg 2023