先週、スウェーデンの中でのよい海産物の集まることで有名なヨーテボリの魚市場で、市場史上始めて行われたのは、近辺で取れた「昆布(sockertång)」のセリ。この昆布は日本では樺太昆布と呼ばれる種類の昆布で、これまでもロシアでは生をそのままサラダとして食べることもあった種類のものだ。
スウェーデンでは海藻類を食べる習慣はなく、時々海岸に打ち上がっている海藻類を見かけては、私がおいしそうだな、とつぶやくくらいだった(なんだこの説明😅)
ヨーテボリから北に広がる群島周辺で収穫されたこの採れたての生の昆布は、500グラムずつおしゃれな木箱に詰められ、一箱100クローナ(約1300円)からセリがスタート。最後に残った一箱はなんと850クローナ(約1万1千円)の高値がつき、出品者を喜ばせた。
京都の錦市場の松茸問屋が、それまでは見向きもされていなかったスウェーデンのマツタケを仕入れにやってきた話を思い起こさせるこの展開。この先、この樺太昆布も(ここはひとつ日本向けに違う名前(ヨテボリ昆布?)を発案してほしいところだが)、スウェーデンに住む私たちを素通りして日本などの他の海藻を食べる習慣のある国に運ばれていってしまうのだろうか?
このセリの話題とつなげるようにして紹介されていたのは、昨年科学誌ネイチャーに掲載された「未来の食糧難は海産物が救う」との論文。これは環境学者や経済の専門家20人によるもので、2050年に世界の100億人が必要とするタンパク質を確保する鍵は海にあるという主張だ。
技術革新と乱獲を防ぐ厳しい環境規制下で貝類と魚の持続可能な養殖と漁を行い、地球の表面の大部分を占める海から食を確保しようという考え方だ。地球は表面の71%が水に覆われており、その殆どが海だ(一部は淡水)。
この論文には養殖からでる廃棄物が計算されていなかったり、また今の養殖漁業ではやせ細った熱帯雨林の土地で育てられた大豆が飼料として使われていることが多く、このやり方を続けていく先には持続可能性はなく、まだまだ考え方は甘いと指摘する声も高い。しかし、未来の食を考える時に海が与えてくれるものの重要度は今後増すことはあっても減ることはないだろう。
スウェーデンの昆布にしても見ているだけでよだれがでそうないいニュースだが、この先、急に乱獲が始まって生態系とか崩れるとかは嫌だ。豊穣の海まで食い尽くさないうちに、足るを知りつつ進むことができるのかな、私たちは?
そして、スウェーデン国立工科大学もこの先スウェーデンは海藻産業の立ち上げを目指すべきとの提言も行っている。こっちでも朝のお味噌汁にいれるおいしい生わかめとかスーパーで買える日も案外近いのかも? 期待してもいいのだろうか😋?