ここのところとても冷えていて、今、土曜の朝6時のルンドの気温はマイナス10度。でも天気がよくて風もなく、気持ちのいい日が続いてる。しかし、ここまで寒いと電気料金が大変なことになる。
通常1メガワットあたり30ユーロの電気料金は、昨日の朝のピーク時には200ユーロまで高騰した。電力を大量に消費する産業では、気温と電力料金の動きに合わせて工場稼働のキャパシティを決めている。例えばHolmen社は、所有する2ヶ所の製紙工場で、多くの工程を止めた。
価格は上がったが、スウェーデンで使用する電力が尽きてしまったわけではない。スウェーデン全体でみると昨日の朝のように供給量が極端に増えた時でも、北部ではまだ電力をフィンランドに輸出できるくらいだ。ただ人が多く消費量も多いスウェーデン南部では電力が足りなくなる。スウェーデンではこの問題を解決するために、大規模な送電網を建設中だが、完成までにまだまだ時間がかかる見込みだ。
そこで現在行われているのが他国からの電力の輸入だ。スウェーデンはまずノルウェーの水力発電で作られた電力を輸入するが、それでも足りない日や時間帯は、ドイツや時にはリトアニアやポーランドの石炭火力発電で作られた電力を輸入する必要がある。
全体としてみればスウェーデンでは電力の輸出量は輸入量を大きく上回っていて、遠い外国から石炭由来の電力を輸入する必要があるのは年に数日、それも一日の中での数時間だけだという。
先にあげたHolmen社などは、時折あるこの電力料金の高騰を問題視しているが、スウェーデンの送電を管轄するSvenska Kraftnätは、寒い日には消費者も産業も電力消費を抑え、環境にもよくない火力発電の電力を使わないようにすることは理にかなっている、と主張する。
私たち生活者も、寒い日は平日の朝の7時から8時の時間帯や夜など社会で一番電力消費量が高まる時に食器洗浄機や掃除機を使うことを控えると、高くて環境にもよくない電力を使ってしまう可能性を低くすることができる。
スウェーデン南部では、この先も2,3週間は冷え込んで天気のよい日も多いという予報だ。灰色の空のもと寒風が顔に痛い例年とは違って、天気がよくて風もなくて気持ちいい!と喜んでいたら、これは北極圏の方で気温上昇していることと因果関係があるかも、などという話も小耳にはさむ。風がないと当然風力発電量も減る。あぁ、夏も冬も、天気がよいことを素直に喜べない、この気候危機の皮肉と付き合っていくのはけっこう難しい。