swelog ニュースで語るスウェーデン

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ムーミン一大産業

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2000年にスウェーデンに引越してきた当時は、今のような北欧ブームでもなくスウェーデンに関する情報も少なかった。

かつ自分でもスウェーデンとフィンランドの違いもよくわかっていなかったくらいの知識だったので、子供の頃から好きで大人になってからも買い集めていたムーミン関連の本をなんとなくお守りのように持って引越してきた。

来てみたら「子供の頃読んだムーミン本やテレビで観たムーミンの人形劇が暗くて怖かった」という私の夫の言葉に代表されるように、こちらの人とムーミンの関係はそんなに盛り上がったものではなく、アラビアのムーミンマグが売られているのが目立つくらいで逆に驚いた。

そんなスウェーデンのムーミン状況も、ここ5,6年でずいぶん変わった。ちょっと怖くてシニカルなイメージのムーミンたちのかわいさが全面に押し出され、積極的にライセンス展開されているのがよくわかる。今「ムーミングループ」の売上は年に70億クローナ(約790億円)を超える。

トーベ・ヤンソンが1945年に出版したムーミンシリーズの最初の本『小さなトロールと大きな洪水』は、第二次世界大戦を反映した暗い暗い世界感のせいか、最初の年は219冊しか売れなかったそうだ。同年に出版された『長くつ下のピッピ』はまたたく間に2万部を売ったそうなので、かなりの差がある。

このニュース記事では今のムーミン一大産業につながる成功の要素としてイギリスの新聞での連載に触れられているが、うーん、それは違う! 

今のムーミン産業の礎になったはやはり日本のテレビアニメでしょう。あまりにも可愛らしくされただけのアニメにトーベ・ヤンソンは卒倒しそうなくらい怒ったそうだけど、あのアニメがなかったら今のムーミン帝国(?)はきっとない。

ムーミンの売上は年70億クローナ

© Hiromi Blomberg 2023