久しぶりに私のヒーローがメディアに出演しているのを発見。またこの人のことを書く機会をもらえたのは単純に嬉しい。その人とは、旧態依然としたファイナンスの世界で保険会社の社長を務めるトランスジェンダーのカロリーン・ファールベルゲル。彼女が投資キャピタルの世界でのジェンダーバランスを扱った経済番組に出演していた。
(保険会社の社長職にいた「カール」が性別適合を行って「カロリーン」となり、さらに活躍する話はこちらの記事をどうぞ)
ファールベルゲルは性的適合をしたからといって自分のリーダーとしてのスタイルや仕事の仕方は変わらないだろうと思っていたが、その実、男性として組織を率いていた時代の自分は、虚勢をはり排他的なリーダーだったことに気がついたと話す。
そして、よく理解できていない時でも断固とした態度で素早い決断をするといった自身の以前のリーダーシップのとり方とは決別し、今はインクルーシブで多くの人の意見に耳を傾け、時間をかけて正しい判断をするようになったという。
『所有しているのは白人男性』と名付けられたこの経済番組では、企業の経営陣側には女性が増えてきた現在のスウェーデンでも、その企業に投資する側のベンチャーキャピタルの経営者側や財界の重鎮たちの世界はこれまで同様まだまだ男性優位の社会で、お金はどう使われるべきかを考えた時にこれは由々しき問題であることを指摘している。
スウェーデンの経済紙DIのDI Digital社の調べによると、女性が創業者の企業への投資は全ベンチャーキャピタル投資のたった1%にしか過ぎない。
スウェーデンのジェンダー平等担当大臣のメルタ・ステーネヴィは、投資企業はこの状況を変えていくことに大きな責任を負う、と番組でのインタビューで話している。民間のお金がどう使わるかについて国家が口を挟むことは難しいが、経済界自身がこれまでの男性優位なやり方を続けた先に革新的なことが起こるのかかどうかを自問するべき時が来ているだろう、と彼女は続ける。
経済格差は広がっているのに、投資の世界では行き場の失ったお金が投資先を求めて唸っている。そこに女性の視線がはいって、ファールベルゲルのいうところの「正しい判断」による投資が増えていくという未来は、実はもうすぐそこまで来ていたりしないのだろうか?
ベンチャーキャピタルのお金の使い方を、冒頭に上げた写真のように、女性が集まって熱心に話し合っているところを見るだけで、とてもワクワクするのは私だけだろうか?